株式会社東急スポーツオアシスが運営する「ラクティブ」は、マシンを使わない筋力アップスタジオとして、高齢者や低体力者向けのプログラムを展開している。2016年より事業を開始し、現在は9店舗を運営、今後さらなる店舗展開を目指す。

大川朋宏氏
株式会社東急スポーツオアシス 共創推進本部 ラクティブ事業部 兼 株式会社東急不動産R&D センター 産官学連携推進担当

フィットネスと介護の狭間の人が対象 マシンを使わないプログラムを提供

同社がラクティブの事業を始めたのは、要介護認定の高齢者が約2割、フィットネス参加率が4%のなか、どちらにも該当しない76%の人たちを対象に運動をする場所を提供することが必要という考えからだった。ターゲット層は高齢者が中心ではあるが、低体力者や病後の若年層も対象としている。

ラクティブの商圏は半径約2km程度。65歳以上の人口が多い地域の商業施設や区役所、バス停の近くなど、生活動線上に出店している。施設は40〜50坪程度で、ラウンジとスタジオを設けている。料金はエントリー会員(週1)6,000円、スタンダード会員(週2)8,000円、フルタイム会員12,000円で、スタンダード会員が多い。

プログラムは目的別に主に3種類あり、すべてマシンは使わず、自宅でできるようにしている。順天堂大学と共同開発した「パワトレ」が特に人気だ。

コミュニケーションを重視 お客さまの身体や気持ちに変化

各店舗の損益分岐会員数は160 〜180名で、’18年以前に出店した店舗はクリアしている。プロモーションは、折込みチラシやDHのほか、これまで地域で健康相談会、健康セミナーを行っていたが、新型コロナウイルス禍以降、そのようなことができず苦慮している。クチコミの力も大きく、周辺のクリニックの医師の薦めによる入会者も多い。フィットネスクラブと比べ、集客にもやや時間がかかるのが特徴だ。

会員の年齢構成は60 〜70代が多く、平均年齢は70歳前後だが、30 〜90代まで幅広い層が入会している。男女比はおよそ2:8だ。

「30代、40代の方は、もともと身体が弱い方や病気から快復後の体力が低下している方などです。フィットネスクラブは運動が得意な元気な人が行くイメージがあり、行きづらい方が多いのではないでしょうか」

ラクティブが重視しているのは、コミュニケーション。入会時のカウンセリングで体力チェックや身体の状態、悩みを聞いて、お勧めのプログラムを伝えている。また、現在は休止しているが、ラウンジで飲食をしながら話す時間も設けている。

「続けると確実に身体は変わります。筋力がつき、今までできなかったことができるようになるのです。歩幅が大きくなる、姿勢がよくなるなど、なりたい自分に近づいていることに喜びを感じていただいているようです。スタッフは、一緒にその喜びを感じる共感力が大事だと伝えています。また、お客さま同士を無理につなげようとはしていませんが、同じクラスに出る方が多いため、自然とコミュニティができます」

スタッフは採用時には経歴や資格などによる制限していないが、入社後、研修を受け、「100年健康アドバイザー検定」の資格を取得している。

「プログラム自体はそれほど難しくありませんが、加齢による身体の変化を知ることは必要です。栄養士や介護士、健康運動指導士をもっている方もいて、セミナーなどで活かされています。重視しているのは、コミュニケーション力と共感力です。悩みを聞く、身体や気持ちの変化に気づいて声をかけることが大切だと考えています」

フィットネス、シニア住宅と連携し 企業全体の価値向上を図る

フィットネスクラブ同様6月から営業再開しているが、家族から反対されるなど休会者は多い。一方で、体力低下を不安に思うお客さまも多いことから、休業中、休会中の運動習慣をフォローするために、自宅でできる運動をDMで送っている。

「WEBGYMで配信したこともありますが、スマートフォンは画面が小さく見づらい、操作がわからないというご意見もあり、紙で送っています。また、休会者には定期的に電話をかけて話を聞いています。今は感染予防対策を万全にして復会を待つと同時に、休んでいる間に体力が落ちないようフォローしています」

今後は、店舗数を増やすと同時に同社のフィットネスクラブおよび東急不動産株式会社が運営するシニア住宅との相互作用でバリューチェーンを高めていくことが目標だ。昨年、フィットネスクラブのある雪ヶ谷(東京都大田区)にオープンしたように、ドミナント化することでさらに価値向上を図っていく。

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