小型のパーソナルスタジオや、マイクロジムが増えている。なかでも、経営が順調な施設の成功要因は何だろうか。本連載で、マーケティングや経営・運営の手法に迫る。第51回目は神奈川県にあるEMB Studio Kickboxing Fitness。少人数制のキックボクシングエクササイズジムをスクール制で運営している。
●コンセプト
運動習慣を楽しく定着させるキックボクシングエクササイズ
株式会社EMBは神奈川県横浜市の日ノ出町にEMB Studio Kickboxing Fitness(以下、EMB)を2021年5月に新規オープン。フィットネス業界歴20年以上かつ複数社での経験をもつ青野氏が、ついに自身の店舗を構えるに至った。
青野氏はキックボクシングエクササイズを提供するジムに勤務していたときに、ある課題感を感じていた。「新規顧客を獲得することがミッションでした。在籍数を3.5倍にまで増やすことができたのは成功体験だと思っています。しかし一方で、せっかく一歩を踏み出してくださった方が、効果を出す前に退会してしまうこともありました」
在籍数が増えると、その分ひとりあたりに目を配る時間が減少してしまう。それであれば、より少人数でも運営が可能なスモールスタジオにすることで、在籍者を確実に幸せにできるようにと立ち上げられたのがEMBだ。
EMBの意味はEnrich your Mind and Body「心と身体を豊かにする」の略で、青野氏の熱い想いを最小文字数で表現している。
少人数グループのスクール制で、キックボクシングエクササイズを提供している。決まった曜日の決まった時間に足を運んでもらうことで、習慣化を促しているという。「元々フィットネスジム勤務時代はインストラクターとしてプレコリオプログラムを指導することを得意としていました。それが自分の天職と感じるまでに楽しく思い、今では自らプログラムを製作しています」と青野氏は快活に話す。
音楽は自身のキャリアのなかで培った人脈をフル活用し、破格の金額で利用できるようになっている。音楽の著作権は非常に厳しいため、同様のビジネスを考えている場合はきちんと関係法令を確認しておこう。
この「少人数スクール」と「音楽」をかけ合わせて、楽しんで身体を動かしていたら、いつのまにか効果もしっかりと出ているという体験を提供することで、継続率を高めている