フィットネスレース「HYROX」が世界的に大ブームになっている。2017年にドイツで始まったこの大会は、オーストラリア、イギリス、アメリカをはじめフィットネス大国で瞬く間に参加者が増え、HYROX専門のトレーニングができるジムも急増している。日本では、2025年8月にパシフィコ横浜で初開催され、約3,800人(内、日本人は約1,700人)の定員枠が売り切れるなど、華々しいスタートを切った。今後の国内の可能性について取材した。

HYROX 大ブームの要因とは
2017年にドイツのハンブルグでスタートしたHYROXは、これまでに、18カ国以上、30以上の都市でレースが開催され、約80カ国から55万人の参加者と、35万人の観客を動員する、世界最大級の大衆参加型フィットネスレースとなっている。
人気の要因として、「世界共通の競技フォーマット」が挙げられる。HYROXは、1kmラン+1種目のワークアウトを8セット繰り返すという、明確で統一されたフォーマットを採用。ワークアウトも、「バーピージャンプ」や、ケトルベルを運ぶ「ファーマーズキャ
リー」、サンドバックを肩に載せてランジを繰り返す「サンドバックランジ」など、ジムでのトレーニングでも目にする親しみやすい種目で構成されている。ランも1セット1kmなので、気軽に参加できる。世界中どこでも同じルールで競うため、グローバルランキ
ングで自分の順位を確認できたり、トレーニングによる自身の上達も確認できることも参加者のモチベーションになっているという。また、参加カテゴリーも、「シングル」「ペア」リレー」などがあり、競技内容を分担しながら参加することができ、コミュニティが醸成されやすい。チームとして楽しく参加できることも、人気の要因となっ
ている。
欧米で、HYROX ジムも急増
HYROXブームを受けて、HYROX専門のトレーニングプログラムを導入する提携ジムも増えている。
当初はドイツのフィットネスクラブやジムに浸透したが、2022年には、イギリスで急拡大し、1年間で、HYROX提携ジムが、18施設から120施設へと拡大した。イギリスでの初開催は、2021年9月のロンドン大会で、出場者数は532名だったが、2023年のロンドン大会では、24,000名の参加者を集めるまでに急拡大している。イギリスの高級クラブ「Third Space」や、大手総合クラブの「David Lloyd Clubs」、小規模ブティックジム「Gymbox」や「F45Training」など広く導入されている。
本場ドイツでは、HYROX専門ジム「HYROX PERFORMANCE CENTER」も増えており、HYROXブランドの集客力と定着率の高さが注目されている。
HYROX の日本での可能性
日本では、2025年9月時点で、HYROX提携ジムが40店舗に広がっている。今後の日本での可能性について、HYROX関係者に訊いた。
「日本市場は注目度が高く、2026年以降、大会の回数も開催場所も増えていく計画です。今年8月に開催された横浜大会は、インスタグラムでの告知により、 これまでスパルタンレースやクロスフィットレースなどに参加されている方をはじめ、フィットネスジムでトレーニングされている方も多く参加していました。世界的にはトレーニング初心者の方も数多く参加しているので、今後、参加者層も広がっていくでしょう。HYROX提携ジムは、月130ドルの提携料を払うだけで、HYROXトレーニングプログラムのサンプルメニューがダウンロードできたり、HYROXトレーナーの育成研修が受けられたり、レースの優先エントリーができるなどのメリットが得られます。上手く活用することで、ジムのブランディングや集客~定着策に繋げられる可能性があります。ただ、提携ジムとして提供できるプログラムの自由度が高く、コミュニティの醸成も重要なので、HYROXにコミットして、コーディネイトできる人材が必要になるでしょう」
日本での次回HYROXレースは、2026年1月の大阪開催が決まっており、HYROX公式トレーニングギアも飛ぶように売れているという。HYROXは、レースの各シーンがインスタ映えすることもブームの要因にあると言われており、日本でもHYROXマーケティングで、新たなフィットネストレンドが生まれることが期待される。
