2009年、武蔵境自動車教習所の経営を実の父から継ぎ、ホスピタリティやおもてなしの精神を生かし、地域密着型の事業拡大を推進。全国千数百ある自動車教習所において毎年全国ベスト5に入る業績を残した高橋氏。現在、同社のCEOでありながらシリコンバレーに本社を置くブリリアントホープでコーチングサービスを展開し、女性が本当に幸せになるための支援をしている。そのリーダーシップの秘密に迫る。
ーお父様の会社を継がれた当時の心境をお聞かせ願いますでしょうか?
やはり不安が一番大きかったですね。経営の勉強をしたと言ってもあくまでそれは机上の空論でしかないですし、自分の知識が本当に通用するのか確信もなかったです。ただ、今だから言えることですが、会社の業績が落ち込んでいたときに継いで本当に良かったです。あとはもう上に上がるだけというマインドにもなりましたし、従業員との関係も、一緒に苦労した仲間だからこそ本音が見えて、お互いの人となりが分かったので、良い関係を築けていると思います。
ー高橋様がCEOに就任されてから、会社の業績は飛躍的に伸びているかと思われますが、就任前と変えたことはありますか?
色々ありますが、大きく変えたのはビジョンや考え方ですね。前までは、「お客さま満足日本一」なんてありきたりな言葉を使っていましたが、全然私たちらしくないと思ったんです。そんな思いを抱えながら、教習所に来てくださるお客さまや従業員の話を訊いていくうちに、「教習所はただ免許を取る場所じゃない。お客さまの一生の思い出をつくる場所だ」と考えるようになったんです。教習所は、成長体験・成功体験・達成感をすべて感じることのできる唯一の場所だと自負しています。
また、従業員にいつも伝えているのは「業界で考えるな」ということです。自動車業界、教習所業界だけで物事を考えるのではなく、常に常識を疑い、異業種で良いと思ったものは全部取り入れることが、重要だと感じています。
ー現在は海外在住ですが、武蔵境自動車教習所のCEOを退いたわけではないですよね。経営面で不安はないのでしょうか?
こういった事例はほとんどないと思うので、常に試行錯誤の日々ですし、はたしてこのまま日本から離れてていいのだろうかと苦悩していたときもありました。ただ、海