欧州で話題の POWER PLATE REVO が日本へ上陸

  • Stephen Powell(スティーブン・パウエル)氏
    Performance Health Systems UK
    (パフォーマンスヘルスシステムズ UK)
    教育ディレクター

2022年11月9~11日に開催された SPORTEC名古屋にて、日本初お披露目となったPOWER PLATE REVO(以下、REVO)を目撃しただろうか。20年以上に渡って振動マシンのトップランナーを走るPOWER PLATEだからこそ実現できた、新しいバイクマシンだ。従来型のエアロバイクとは一線を画す REVOについて、パフォーマンスヘルスシステムズイギリス支社にて教育ディレクターを務めるStephen Powell 氏より詳しく訊いた。それと同時に編集部でREVOの利用体験を行ったため、そのレポートをいち早くお届けしたい。

REVO が誕生するまでの軌跡カーディオマシンへの挑戦

POWER PLATEは振動テクノロジーを駆使して、フィットネス領域のみならずメディカル領域やウェルネス領域で確かな地位を築いてきた。多くの一流アスリートにトレーニングやリカバリーで活用されるほか、最近ではピラティススタジオでの利用も人気を集めていると紹介した(Fitness Business通巻118号P106参照)。

「我々が培ってきた振動テクノロジーとカーディオマシンを融合して、新たなフィットネス体験を創出できないか。そのような構想が2010年頃から弊社にありました。そのとき、ポーランドやオランダのサイクリング愛好家でもある弊社の開発スタッフがバイクマシンに目を付けたのです」と話すのは、 19年以上に渡りPOWER PLATEの企業教育に従事しているPowell氏。

同氏もこの開発プロジェクトに長期間関わり、REVOの誕生に至った。この革新的な新製品を日本に紹介するために来日した。「POWER PLATEは全身に同時に振動を与えることが可能なマシンで、 POWER PLATE PULSEは局所的に振動アプローチができるソリューションとして展開してきました。REVOは、下肢にターゲットを絞って振動を届ける、今までにない有酸素運動が体験できます。我々としてもカーディオバイブレーションマシンは初の試みですが、フィットネス業界へ革命を起こすバイクマシンと言い切れます」とPowell 氏は笑顔で話す。

どのような秘密が隠されているのだろうか?

革新的なバイクマシンを支えるバイブシフトテクノロジー

REVOの神髄はバイブシフトテクノロジーと呼ばれる独自の技術だ(図1)。

POWER PLATE REVO のバイブシフトテクノロジー
https://power-plate.co.jp/power-plate-revo

バイクマシンのハンドル部分にあるレバーを下に引くと、ギアが切り替わってペダルが下肢に強力な振動を与え始める。つまり、筋活動が活発でありながら抵抗が少ないモードに切り替えることができる。

しかも、REVOが今までの振動テクノロジーと違う点は、セルフパワードバイブレーション。つまり、自分のペダルを漕ぐエネルギーが動力となって振動するため、電源を必要としない。特殊な内部構造によって、ペダルを漕ぐだけで理想的なバイブレーションを発生させることができる。開発チームの10年以上の研究の成果が、ようやく日の目を浴びることとなったというわけである。

今までのエクササイズバイクは、自らがペダルを漕ぐ速さ(RPM)とペダルの重さ(抵抗)を調整することで運動負荷をコントロールしてきたが、それに振動モードという第3の要素を搭載し、革新的に進化した。同じ抵抗であっても、振動がある場合は平均で1.5倍のパワー出力を必要とするとデータが示唆している(図1)。

また、RPMが90以上になった場合に、振動があることでパワー出力が有意に大きくなることも研究で明らかになった(図2)。

図1 振動なし(青線)と振動あり(赤線) を比較した下肢筋のトータル活性化
◆図2 振動と無振動の相対的な違い (回転数依存の振動数)

編集部スタッフによる実体験とそれを裏付ける研究データ

FitnessBusiness編集部でも、プロティア・ジャパンのショールームにてREVOを体験してきた。バイクマシンは電源を要しないが、コンソール(回転スピードなどの表示部分)は充電して利用する。まずは振動なしで 100RPM以上までスピードを高めてから、一気に振動レバーを引くと別の抵抗が発生し、短時間でより高い運動効果を得られるということにも納得できた。

続いて編集部で体験させてもらったのはREHIITと呼ばれる、HIITよりも回復時間を長く設けるプログラム。回復時間の21秒間は振動なしでゆっくり漕ぎ、運動時間の8秒間は振動ありで120RPM以上の速さで漕ぐという動作を4セットほど繰り返した。振動を止めた直後は、脚の内部にじんわりとした感覚が巡った。サウナから水風呂へ入るような切り替わり方だった。実際、取材の帰り道では、今までに感じたことのない足の疲労感があったのを覚えている。筋肉痛にはならないものの、しっかりと脚の筋肉を使った感覚だ。おそらく、振動をつけてREVO を漕いだ時間はトータルでも1分程度だった。普段からウェイトトレーニングや有酸素運動を週5日以上行う編集部スタッフであっても、このような運動負荷の向上の実感を得られた。

これは実際に英国グリニッジ大学、スポーツサイエンス&ヒューマンパフォーマンスセンターが行った予備研究でも数値で現れている(図3)。

◆図3 筋活動の増加

振動を加えることで、各筋肉の活動量が 138%~ 167%増加したという結果が出ているのだ。

イギリスで広まりつつある新たなフィットネス体験

Powell氏によると、イギリスでは POC(Proof of Concept)段階にきており、いくつかのフィットネスクラブにREVOが設置されているという。ただREVOを単体で置くというわけではなく、同社が手掛ける全身振動ソリューションPOWER PLATEを併設するかたちを取っている。

「例えば、ウォーミングアップでは POWER PLATEを使っていただき、それからREVOで高強度のインターバルトレーニングを行います。運動後のリカバリーではPOWER PLATE PULSE を使うといった一連の新しいフィットネス体験を提供し、クラブの会員さまよりご好評いただいています」とPowell氏は手応えを感じている。

今回、本記事で紹介したのは一番わかりやすいであろう筋活動量のデータのみであるが、乳酸値、心拍数、VO2 の変化についてもREVOのモダリティにより良い影響を受けているそうだ。 POWER PLATEは英国グリニッジ大学と協力してその効果についてより多くの研究データを取得している。詳しくはプロティア・ジャパンへ問い合わせると良いだろう。

フィットネス体験としても、数値的な効果としても、これまでにはない画期的なバイクマシンが誕生したと言えるのではないだろうか。

日本でも、あらゆる領域で REVO の本格展開が近い

これまで、REVOの特徴や実体験をもとにしたレポート、それから実験結果などを中心に紹介してきた。今後のフィットネス業界を大きく変えるであろうREVOは、2023年より日本でも販売を拡大する。

「もちろん、フィットネス業界で多くの施設に導入していただき、会員さまの体験価値と時間効率を高めることが第一目標です。一方で、リハビリ領域でも活用できるのではないかと考えています。さらには、REVOの本体はそこまでスペースを取らないので、家庭用としてもマーケットを広げていけると思います。振動音がまだ大きいという点に改良の余地がありますが、そこも積極的に取り組んでいきます」と Powell氏は言う。

まずは一度、この革新的なREVOをいち早くプロティア・ジャパンのショールームで体感してみてはいかがだろうか?