会員制健康ビジネス専門のコンサルタント、田村真二氏にフィットネスビジネス・マーケティング戦略を連載でご紹介いただいている本稿。連載95回目では、高額商品の販売について3つの事例を挙げながら、小規模でも大きな売上・利益を手にできると解説する。

「高額商品」の販売に売上・利益増のチャンスあり

コロナや競合の影響などで、もし会員数や売上高が(コロナ前より)減ったままであれば、どうにかして顧客単価を上げなければなりません。光熱費高騰が経営を圧迫しているため、経費削減はすでに行っているでしょう。

私の経験上、顧客単価を上げる最も簡単かつ早い方法は「会費値上げ」です。ですが、この方法は、即効性は高いものの頻度に難があります。フィットネスビジネスの場合、食料品のように年に数回値上げするのは困難であり、少なくとも1~2年空ける必要があるでしょう。

また、値上げを繰り返せば会員数を増やすことはもちろん、維持することさえ難しくなります。そこで効果大の方法が、「高額商品」の販売です。

5~10坪で年商数千万円

具体的には、施設内に小さな個室(5~10坪程度)を作り、パーソナルトレーニングを組み入れた高額商品を販売することで1施設当たり年商数千万円の売上(粗利)増を目指します。

意外に思う人もいるかもしれませんが、これまで行ったコンサルティングでは、立地(都内・郊外・地方など)や業態(小規模ジム・スタジオから大型総合型クラブまで)を問わず、月額3万円から20万円程度、会員1人当たり年間LTV(ライフタイムバリュー)数十万円から200万円超。しかも購入者の大半は、月会費1万円前後の「現会員さま」です。

論より証拠。その内容について3社の事例紹介とともに説明します。

ケース1)高付加価値&高単価の実現でパーソナル年商400万円から3千万円へ

「生活習慣改善指導で健康体が手に入りました!」と喜ぶ田中さん(仮名、40代女性)。コロナ禍で仕事のスタイルが変更になり在宅ワークへ。一日中パソコンの前に座ったままの生活が続き、体重増加と体調も不調になりがちで、1人では何をどうすればいいかわからず悩んでいました。そんなとき、広告でよく目にしていた女性専用スポーツジムで以前から興味のあった