アドバンテッジアドバイザーズ株式会社と株式会社ルネサンスとの資本事業提携が発表されたのが2022年11月11日。ルネサンスの企業価値向上に向けた資金調達の取り組みは業界内外より大きな注目が集まった。アドバンテッジアドバイザーズ(以下、同社)は、同社がサービスを提供する投資ファンド「アドバンテッジアドバイザーズ成長支援投資事業有限責任組合」を通じ、ルネサンスの優先株式、転換社債型新株予約権付社債および新株予約権を引き受ける形で、ルネサンスへ約50億円の投資を実行した。ルネサンスは調達した資金をフィットネス施設や介護施設等の更新投資や新規出店、業務効率化、新規事業創出などに投じていく。

同社の投資目線や支援内容を知ることは、フィットネス業界の価値を知ることにも通じると考え、本件担当の同社 プリンシパル 小林建治氏にお話を伺った。

  • アドバンテッジアドバイザーズ株式会社
    プリンシパル
    小林建治氏

企業価値の向上にともに取り組むルネサンスにはかねてより注目

同社は、1997年に国内最初のプライベートエクイティファンド(未公開企業または事業に対する投資)を組成したアドバンテッジパートナーズグループの子会社として、2018年に設立された。アドバンテッジパートナーズグループは国内とアジア圏で、累計で100件以上、6,000億円から7,000億円ほどの投資を実行しており、投資先は非上場だけでなく上場企業も含まれ、扱っている事業や産業も多様な領域に及んでいる。

同社のグループ内での位置づけは、上場企業の種類株式を第三者割当で引受、企業価値向上に必要な資金を拠出し経営陣と一体となって非連続な成長を実現していくというものだ。

同社で活躍するメンバーの多くがコンサルティングファーム出身であることも特徴で、投資企業の内に入り、ハズオンでビジネスを強くしていくことを重視している。

「かねてより私たちのチームは、ルネサンスに関心があった。背景にはフィットネスクラブの領域で圧倒的な存在感を持っていること、加えて、介護領域にも取り組んでいること。ルネサンスの標榜する『健康のソリューションカンパニー』としてのビジョンは、唯一無二のもので、成長の可能性が大きいところに着目していた」と小林氏。

「もう1つは、フィットネスクラブ業界でのルネサンスの立ち位置だ。業界は非専業企業の参入で市場拡大を進めて成長期を経て今や成熟市場となり、コロナ禍を経て企業の優勝劣敗が加速した。chocoZAPのようなジムも登場し競争が激化する昨今、業界再編は不可避だろうと見ている。

この観点からも『健康のソリューションカンパニー』という、フィットネス施設運営にとどまらないサービスを提供するルネサンスは、強いポジションにある。ルネサンスはこれまでも店舗継承や企業のM&Aで成長し、企業をバリューアップしてきた経緯をみると、私たちと組むことで、ユーザーへ付加価値の提供ができ、企業価値向上も図れるのではないかと確信した。ルネサンスも健康のソリューションカンパニーへの転換のための基盤づくりに、資金ニーズがあった。いい形で私たちが投資の機会を得ることができた」と話す。

同社は事業、財務の戦略面でルネサンスを支え、ルネサンスの目指す方向性に具体的な施策を立てて実行していく。

具体成果として出たのが、ルネサンスが、2023年8月「株式会社東急スポーツオアシス」へ資本参加し、株式追加取得(連結子会社化)を実行。同社がM&Aの資金面をサポートするとともに、事業価値算定や事業計画の蓋然性確認等にも関わった。

ルネサンスは、先んじて同年3月には持分法適用関連会社として資本参加も行っている。同社は、ルネサンスとオアシス両社の顧客接点の拡大、顧客体験価値の向上、スケールメリットの実現が有益とするルネサンスの考えに共鳴し、M&Aを支援。オアシスが持つホームフィットネスやデジタルヘルスデザイン事業などを活用することは事業拡大・付加価値向上も目指せると考えた。ルネサンスにとって、企業価値の拡大、成長に余地があることを示したことになる。

小林氏は「M&Aの実行も含め成長加速ができるのは、ルネサンスがフィットネスクラブとして、全国に広がる店舗網、知名度、介護領域にも広がるバリューチェーンをもつこと。

サービスを開拓し提供できる基盤は十分に備えており成長への期待がある」と言う。

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