スタジオのアイドルタイム有効活用は、フィットネスクラブを運営するうえで、注力すべきポイントだ。教育熱の高まりから多様化しているキッズスクール事業は、その解決策の1つと言える。フィットネス業界のリーディングカンパニーとして、妥協なきクオリティを追求するGOLD'S GYM(以下、ゴールドジム)。キッズスクール事業の柱として、「エイベックス・ダンスマスター」を導入し、その規模は導入店舗数No.1(全国30店舗以上)を誇る。なぜ業界のトップランナーは、このプログラムと共に成長を続けているのか。運営する株式会社THINKフィットネス(以下、同社)取締役の田代 誠氏が語る成功のカギは、日々の運営を支える「信頼のシステム」と、両社に共通する“本物”へのこだわりにあった。


株式会社THINK フィットネス
取締役
田代 誠氏

 

 

価値を高め合うブランドシナジー

ゴールドジムが初めてエイベックス・ダンスマスターを導入したのは2006年3月。きっかけはエイベックス担当者からのアプローチだったが、その後、導入の決定に至るまで時間はかからなかった。なぜなら、そこには“ブランド”という両社に共通する哲学があったからだ。

「ブランドを構築する大変さは、我々が一番身に染みています」と田代氏。ゴールドジムは今でこそ業界で誰もが知るブランドだが、日本での展開当初は認知度を上げるまでに大変な苦労があったという。その経験があるからこそ、自社のブランド価値を深く理解し、それを軸に事業を組み立てるエイベックスの姿勢に「強く共感した」と言い、それが即決した理由だったと明かす。

全社展開を支える運営の安心感

ブランドへの共感から始まったパートナーシップ。それが全社展開にまで拡大した背景には、エイベックスへの運営に対する絶対的な信頼があった。

通常、フィットネスクラブが新たなスクールを導入する際、その運営体制や指導者の質について入念な調査を伴う。しかし、「エイベックス・ダンスマスターは進級制度や保護者様への説明、インストラクターのサポート体制といった仕組みが非常にしっかりしているので調査の必要がなく、クラブ側としては導入のハードルが全くなかったです」と田代氏。この信頼があるからこそ、「あの店舗に空きが出たから、エイベックスさんに」という、スピード感のある意思決定が可能になり、全国展開を力強く後押ししている。

さらに、このパートナーシップは地域での知名度向上においても大きな相乗効果を生む。「例えば地域のイベントに参加しても、ただブースを構えて挨拶するだけでは、ゴールドジムの魅力は伝わりません。『何をしに来たの?』と不思議に思われて終わり。しかし、エイベックス・ダンスマスター受講生の発表の場とすることで、地域の方々に我々の存在を知っていただく絶好のきっかけになります」と同氏。

こうした発表の場は、エイベックスにとっては受講生の成長機会となり、ゴールドジムにとっては地域になじむためのプロモーションとなる。「だからこそ私たちは、エイベックス・ダンスマスターを選び続けているのです」と続ける。現場運営とプロモーションの両面から、このプログラムがゴールドジムにとって欠かせない存在になっていることがうかがえる。


世代超える繋がりがクラブの財産に

さらに田代氏は、子どもたちの存在がもたらす無形の価値こそ「クラブの財産だ」と語る。子どもたちが一生懸命に頑張る姿は、大人たちが忘れていた純粋さを思い出させ、クラブ全体にこれまでとは違う活気をもたらす。そうした子どもたちの成長を強く後押しするのが、発表会という目標の存在だ。

同氏も「『1つの試合に勝る練習はない』という言葉通り、緊張感のあるステージ経験こそが、彼らを大きく成長させます」とその価値を強調する。そしてこの取り組みを、短期的な収益ではなく、未来への「投資」と捉え、「通ってくれた子どもたちが大人になり、運動を始めようと思ったとき、再びゴールドジムを選んでくれたら、これほど嬉しいことはありません。そして願わくは、そのお子さんにもまた通ってほしい」と未来への想いを明かす。

子どもが大人になり、またその子どもが通う―。この“世代を超えるつながり”こそ、スクール事業の大きな価値だ。導入から20年、親子2代で通う受講生も現実に増えている。「本物」が「本物」を選び、未来を共に築く。ゴールドジムとエイベックス・ダンスマスターのパートナーシップは、その理想形を示していると言えるだろう。