Rick Caro(リック・カロー)氏

【プロフィール】
Management Vision社の創業者兼オーナー。IHRSAにも設立当初からかかわる、フィットネス業界の重鎮である。

コロナが引き起こした逆転現象、都心のクラブやスタジオ業態が大ダメージ受ける

アメリカのクラブ業界は、難しい状況にあります。州や郡の方針により、クラブが閉鎖された期間に差があります。長いところでは2年間にわたり閉鎖することになりました。その一方で、短いクラブは2~3ヶ月の休業で済みました。同じ国の中でも、州によって状況がかなり違うのです。

調査によると、2020年3月から休業し、2021年12月に再開したクラブのうち、25%が完全に閉鎖しています。ブティックスタジオは、され以上にひどい状況で、30%が完全に閉鎖しています。残念でなりません。

閉鎖期間が短かったクラブは、閉鎖期間が長期化したクラブより、会員数へのダメージは当然のことながら少ないです。

また、クラブの業態によっても影響の出方が多少違っています。10ドル以下のいわゆるバジェットクラブは、会員もプログラムやサービスではなく、施設や機器利用にお金を払っているので、あまり影響を受けませんでした。プラネットフィットネス、クランチ、レトロフィットネス、VASA、チューズ、EOSフィットネスなどは、すぐに会員が戻ってきました。また、高級クラブも、価格弾力性が低く、会員の戻りもよい状況が見られています。

一番悪い状況なのが、価格も施設規模も中くらいに位置するクラブです。また、それ以上に経営が悪化したのが、単体の小規模スタジオです。ソーシャルディスタンスを6フィート(1.82m)とらなければならないことで、収容人数が半減したことによるものです。売上が半減することで、経費がまかなえず、閉鎖に追い込まれるクラブも多くありました。さらに、都心に立地するクラブやスタジオも影響を受けました。リモートワークが平常化することで、オフィスに出社する人が少なくなり、都心店ではクラブやスタジオの利用も減り、会員も減りました。また、学校も一時期完全にリモート授業になり、より安全な郊外に一時的にも移り住む人もいました。一度、郊外のクラブに入会すると、元のクラブやスタジオに戻る必要性もなくなります。

加えて、米国では5歳以下の子どもはワクチンを打つことができず―ようやく先週か