サイクルアドベンチャー・フェス in 南アルプス(山梨県)

  • 加賀美啓さん
    やまなしスポーツ
    エンジン事務局
     

CYCLE ADVENTURE Fest. in Minami-Alpsは、南アルプスの雄大な自然を活かして、地域の人々にスポーツをはじめるきっかけや、環境保全に理解を深めるきっかけを提供するアウトドアイベント。山梨県のスポーツコミッション「やまなしスポーツエンジン」事務局の加賀美啓さんを中心に、2022年から企画開催されており、現在は県内外から約250名が集まるイベントとなっている。「南アルプスの魅力と非日常体験をセットにした、この日しか体験することのできない『プレミアムイベント』を多くの方に」をコンセプトにしたユニークな企画が注目されている。

本イベントの大きな特徴は、誰でも参加できるアウトドアイベントであること。集客力のあるアウトドアイベントは、これまでエクストリームスポーツの事例が多く、地域の人が参加するには敷居が高いと感じられるものが多かった。

だが、やまなしスポーツエンジンでは、スポーツコミッションの役割として、「地域の方が主役になれること」を重視。サイクルイベントであるものの、電動で山道もラクに登れるEバイクを活用して、誰でも絶景サイクルコースを駆け抜ける体験ができるようにした。

Eバイクは、山の魅力を広く伝えるうえで有効で、自転車に乗れる人であれば、体力を問わず山の高い標高まで登ることができ、スリルのある非日常体験が味わえることになる。

また、サイクルイベントでありながら、自転車は「移動手段」として位置づけ、目的地では、一人ひとりの興味に合わせて、ヨガやトレッキング、テントサウナなどのアクティビティや、BBQや音楽をアウトドアで楽しむことも目的にできる、複合型イベントとした。

もう一点、本イベントがユニークなのは、普段自転車では走れない県営の林道を使用していること。今回コースに選んだ道は、林道として以前は多くの登山者が行き交った道であるが、車両が増えたことや、自然災害で道が寸断されたことを期に通行止めとなっていた。その間に登山者が減少し、現在も車で通れるものの、マイカー規制などもある道だ。

「登山以外の地域の魅力を知ってもらいたい」と、通常はマイカー規制がかかっている林道を、特別に解放。安全に通れるように、通信網や緊急対応などを整備し、「この日だけ自転車で走れる」という、特別な体験を提供した。

さらに、「地域の人が主役になれる」施策として、「やまなしサイクルツアーガイド」の養成と認定も進めた。地域にレガシーをつくるうえで地域の人が活きる仕組みづくりが必要と考え、サイクルツアーガイドの養成コースカリキュラムから構築。山梨県の自然環境や、歴史・文化、サイクルツアーでの安全管理や、健康づくりについても学んでもらい、地域で継続的に活動してもらえることを想定して、これまでに約30名の認定者を輩出している。

長く活動して貰うべく、チームビジョンや価値観も明文化。各種イベントでのガイドや、ワンデイガイドをはじめ、修学旅行やプライベートツアー、インバウンドツアーなどでも活躍している。

 同イベントは、2023年には内容を拡充して、「南アルプスユネスコエコパーク」の自然に触れるプライベートツアーをコンセプトに「サイクルアドベンチャーツアー」と名称も変更。

さらに気軽に参加できる「初級コース」を新設するとともにアクティビティの種類も「スラックライン」や「リラックス焚き火」なども追加。宿泊の際には「サイクル割」が受けられるなど、地元事業者との連携も拡大した。

 今後も、イベントやツーリズムの開発と人材育成を進め、サイクルツーリズムを発展させていく計画だ。

「 スポーツイベントでは、地域の交通や通信網のほか、各種の地域資源を活用することで魅力づけができるので、行政としての役割も大きいと感じます。官民が連携して運営するスポーツコミッションの強みを活かして、地域の方々と一緒に、地域のすべての方に、スポーツに親しんでいただける機会を創っていきたいと思います。事業者として自主財源を確保しながら、持続可能性の高い活動に繋げられるよう、山梨県の自治体や、法人、個人に向けて、サービスも拡充し、将来『サイクル王国やまなし』の実現を目指します」

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