京都府内で総合型フィットネスクラブや各種スクールを展開する株式会社ピノス(以下、同社)は、ウェルネス志向に基づく運動プログラムを提供し、地域に根差した事業を続けている。同社は昨年10月、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社のグループ会社であるカルチュア・エクスペリエンス株式会社(以下、CX社)の「TSUTAYA Conditioning PILATES」をフィットネスクラブピノス洛西口(以下、ピノス洛西口)へ導入し、新規ユーザーの獲得に成功している。CX社のマシンピラティス導入に至った経緯や理由、運用方法、導入後に見られている成果など、店長を務める前田貴司氏とピラティス事業責任者である河合美登里氏に話を訊いた。

株式会社ピノス フィットネスクラブピノス洛西口 店長 前田貴司氏(左) ピラティス事業責任者 河合美登里氏(右)

 

 

 

 

 

 

地域密着とウェルネスを基盤に

総合型フィットネスクラブ「ピノス洛西口」は1996年に設立、今年3月に節目の30周年を迎える。2006年オープンの2号店「ピノスけいはんな」は、自然素材を活かした建物が評価され、建築・環境デザイン部門において、フィットネスクラブとして初のグッドデザイン賞を受賞。2018年には大人の健康づくり教室「グッドネス」を立ち上げ、現在3店舗を運営している。

フィットネスクラブの2店舗は、厚生労働省大臣認定の健康増進施設、指定運動療法施設に認定されている。同社の創業当時からの一丁目一番地は“地域密着”であること。「地域の皆さまの健康と友好の場として健康寿命100歳を目標に、運動を通して介護のない世の中を創っていきたいです。総合型フィットネスクラブの枠を超え、みんなが集う『全世代型ウェルネスモール』をビジョンに、どの世代の方々が来られても健康になっていただけるようなご提案ができる、そんなモール化を目指しています」と、開業当時から勤務する前田氏は語る。

同社がビジョンの再定義を図ったのは、今から12年ほど前になる。そのきっかけは、近隣の京都・桂川に大手チェーンの総合型クラブが進出したことだった。ピノス洛西口は競合施設を迎えるにあたり、コンセプトに掲げていた「心と身体が潤う」を再認識し、「鍛えるのではなく整える運動」を訴求する方法を模索し始める。ウェルネス施策の一環として、会員からの寄贈で集まった本を自由に読め、レンタルもできる自前のブックスペースをクラブ内に設置。同社がウェルネスを視野に入れた想いの現れといえよう。

互いのコンセプトに共鳴しマシンピラティスをFC化へ

時代は移り変わる。2017年、CX社はTSUTAYAが提案するライフスタイルジム「TSUTAYA Conditioning」1号店をオープンした。そのコンセプトは「ココロとカラダを整える」。その後、コンセプトをそのままに、人間の身体が持っている機能的で美しい姿勢を取り戻すエクササイズとして注目を集めていたピラティスにフォーカスし、初心者向け女性専用マシンピラティス店舗「TSUTAYA Conditioning PILATES」の運営を始めることになる。

「TSUTAYA Conditioning」の存在を知った前田氏は、「自社で掲げているビジョンやコンセプト、自社のブックスペースとTSUTAYAの強みを活かしたブックラウンジに、近しさをとても感じました。居ても立っても居られず、施設へ足を運び視察させていただくと、より親近感が沸きました。今もなお頭の片隅に、その時の良い記憶が残っています」と振り返る。

「全世代型ウェルネスモール」というビジョンを打ち出しつつも、30~40代の顧客層が少ないという課題を抱え続けていたピノス洛西口。打開策として、相次ぐ出店とユーザー人気の高まりが明白となっていた“マシンピラティス”の導入を検討し始める。2024年に入り、「マシンピラティスを始めるなら今しかないと考えましたが、自分たちで一から準備を行うのはリスクが高いと感じていました」と前田氏。

そんな矢先、一本の電話が入る。その電話は、CX社・FC事業本部の新規営業部で統括マネジャーを務める沼田安良氏からだった。日頃から電話営業をお断りしているピノス洛西口だったが、すでに導入を検討していたこともあり、前田氏が電話対応にあたる。

「沼田さんは事前にホームページを熟読されており、ピノスの特徴を十分に理解されていました。施設のコンセプトに共感してくれたことも嬉しく、お会いしてお話をしてみると『流行り廃りではなく、フォームや姿勢といった根本的なところを大切にする“整える”メソッドを持っているという点』も共感できました。あとは、沼田さんのお人柄です」と前田氏は頬を緩めて、「TSUTAYA Conditioning PILATES」導入の決め手を説明してくれた。

開業2ヶ月で200名の集客を達成

導入が決まり、二人三脚での施設づくりが始まる。既存のスタジオを活用する案もあったが、少し手狭だった。より快適な空間をユーザーに提供したいピノス、空間価値をコンセプトの一部と捉えているCX社、双方の想いは合致し、フリースペースとして利用していた広めの空間を採用。そして2025年10月2日、「TSUTAYA Conditioning」がプロデュースする「PINOS PILATES produced by TSUTAYA Conditioning PILATES(以下、PINOS PILATES)」の運営が始まる。

「TSUTAYA Conditioning PILATES」の特徴は大きく3つある。

1つ目は、女性限定で少人数制のレッスンであること。運動習慣があまりない方でも参加できる、初心者の方に向けたレッスンを月に約100~120本実施している。

運動・美・食・暮らしをテーマに「代官山蔦屋書店」のコンシェルジュが選書した本を揃えたブックラウンジの存在が、2つ目の特徴だ。ユーザーはレッスンの前後にゆったりと読書を楽しむことができる。

3つ目は、完全予約制で選べる回数プランが用意されていること。予約時間の1時間前まで、1回分の費用を消化することなくキャンセルが可能。また、月4回と月8回のプランが選べることもユーザーファーストの表れだ。

オープン前月となる9月に体験会を開催したこともあり、オープン後の出足は好調だという。新規顧客の割合が全体の約7割、ピノス既存会員の割合が約3割となっており、昨年末時点で約200人が入会している。

順調な会員数の推移の理由には、高いサービス力も挙げられる。ピノス勤続10年以上のスタッフがアルバイト全体の半数を占める現状に前田氏は「地域密着型で長年接客をしているピノスだからこそ、お客さまとの適切な距離感を理解している。だから体験会に来られた方にもグッと近づけました。入会率の高まりは、スタッフの活躍のお陰でもあります」と嬉しそうに話す。

ジムとマシンピラティスの融合で得られるメリット

「PINOS PILATES」の会員年齢層は現段階で40代が最も多く、導入前に掲げていた30~40代の顧客層獲得という課題解決に対し、良い兆候が見られている。30代、50~60代のボリュームも多い。鍛えるではなく“整えるピラティス”が幅広い層に受け入れられている証ともいえるだろう。

ピラティス事業責任者の河合氏は、全世代型ウェルネスモール化の一例に、「ピノス既存会員のお母さまが娘さんを連れ、親子で『PINOS PILATES』へ入会してくれました。仕事が忙しい娘さんはマシンピラティスのみを受講されていますが、毎週仲良く一緒にご来館いただいています」と話す。

フィットネスのレッスンを受講しているピノス会員から、「自身に足りないところを補うため、TSUTAYAのピラティスを追加したら、相乗効果で体幹や姿勢が整い始めている」という嬉しい声が届いている。これは、ジムとマシンピラティスを掛け持ちで受講できるメリットの1つといえるだろう。

「PINOS PILATES」には専属のスタッフが常駐しているわけではなく、ピノスで働くスタッフのシフトを効率良く回し、運営の効率を図っているという。それぞれが独立した専用チェックインカウンターをあえて設けず、さらなるサービスの向上とフロント人員の省人化にも取り組むが、TSUTAYA独自のオシャレな空間で働けること自体に魅力を感じているスタッフも多く、従業員満足度の向上にも「TSUTAYA Conditioning PILATES」は寄与している。

「TSUTAYA Conditioning PILATES」では、レッスンインストラクターを本部から派遣し、質の高いレッスンを安定して提供できることも特徴の1つだが、「PIOSPILATES」では、派遣だけに頼らず、「TSUTYA Conditioning PILATES」のインストラクター研修を受けた自社のインストラクターも、マシンピラティスの指導にあたっている。

前田氏は「Instagramへの投稿など、スタッフが率先して、様々な仕事をしてくれる。仕事の幅が広がったことで、スタッフは軸足を持って仕事に取り組んでいます。その点においても、『TSUTAYA Conditioning PILATES』を導入してとても良かったです」と話す。

良好な関係を続け高め合う存在に

顧客だけでなく従業員の満足度にも注力している同社には、ピノス洛西口を設立してから30年間、守り続けているポリシーがある。それは、「入会キャンペーンを一切行わないこと」だ。会費等の割引を行わない分、オーダーメイドのメニューやレッスンを構築・提供するなど、手厚いサポートを実践し続けている。ユーザーに特別感を供与し、やる気を促し、好ましい関係づくりから継続率の向上に努めているのだ。

今後もピノスは「PINOS PILATES」を含め、大切なポリシーを継続していくことに前向きだ。良好な関係を築けているCX社に対し前田氏は「両社の強みを活かしたサービス展開に加え、様々な視点からコンディショニングの本質的な部分をともに追求していきたい。それを“TSUTAYAというブランド”を用い、世に拡げ、『TSUTAYA Conditioning PILATES』の活性化につなげて欲しい」と話す。

「TSUTAYA」というブランド力があるからこそ、CX社が展開するマシンピラティスを内包するウェルネス事業への期待は、計り知れない。