ここ数年、総合クラブの出店数が伸び悩む一方で、出店の勢いが止まらない小規模施設。総合クラブにとって厳しい環境の今だからこそ、付加価値をつけることで、新たなユーザーの獲得と定着率の向上につなげている企業もある。なかでも野村不動産ライフ&スポーツ株式会社(以下、野村不動産ライフ&スポーツ)は、2019年に小林利彦氏が社長に就任したことを機に、新たな視点から運営改革に取り組んでいる。

【お話を訊いた方】
野村不動産ライフ&スポーツ株式会社 代表取締役社長 小林利彦氏

アンケート結果に奮起 スタイリッシュなスポーツクラブへ

総合クラブの周りにいくつもの小規模業態が出店しているという状況も珍しくなくなった現在、総合クラブが運営を継続するためには、その特徴や魅力をより明確にするとともに、運営効率を高めることが求められるようになった。

野村不動産株式会社出身で、野村不動産ライフ&スポーツにて専務取締役などを経て’19年に野村不動産ライフ&スポーツの代表取締役社長に就任した小林利彦氏も、総合クラブが直面している状況は厳しいとしながらも、質にこだわりながら、サービスの提供に取り組んでいる。その効果は着実に表れてきており、50代以上のシニア層の割合が会員の半数以上を占める総合クラブが多いなか、同社ではシニア層だけでなく、20~40代の若年層の入会が増え会員数は拡大している。

「地域の方に行ったアンケートでメガロスの印象を聞いたところ『お風呂付きの大型体育館』という声があったのです。美しくなりたい、強くなりたいと思う若年層にとっては入り口からイメージが違うことになります。もっと施設に通うことが誇りに思えるような機会の提供が必要だと感じ、スタイリッシュな都心部出店、新プログラムの開発、リニューアル促進などに取り組んでいったところ、お客さまの層が広がっていきました」

新たなブランドイメージの醸成は、そこで働くスタッフたちにも、よりよいサービス提供や常にスタイリッシュでいたいという高いモチベーションを生むことにもつながっている。

 

“攻め”の省エネ対策でよりよい施設づくりを実現

同社はスタッフによる質の高いサービスや、若年層も通いたくなる施設づくりに取り組みながらも、人件費や建築費が高騰する現代において、コストパフォーマンスの重要性も認識している。しかし、ここにおいても、小林氏は積極的な姿勢で取り組んでいきたいと考えている。

「例えば、照明をLEDに変えると、省エネ効果はもちろん、明るさが向上することで、プールなど光がキラキラと反射し、空間自体が劇的に変わります。省エネというと、コスト削減に目が向き、“守り”の姿勢になりがちですが、そのような“攻め”の姿勢から発想することも大切だと思います」

様々な省エネツールが生み出される世の中において、同社がパートナーとして信頼を寄せているのが東京ガス株式会社(以下、東京ガス)だ。

「フィットネスビジネスの成功ポイントの1つは初期投資を抑えることと運営効率を高めること。東京ガスはそのようなフィットネス業界での実績も多く、業界特性をきちんと理解したうえでいろいろな助言をくれるので、ありがたいですね。当社のような施設規模の大きな企業は、むしろそのようなパートナーがいないと、このビジネスを続けるのは難しいかもしれません」

実際、東京ガスでは、ガスヒーポン(GHP)やマイクロCGSといったガスシステムを提案。さらに、吉祥寺店含む計5店舗では、ガスヒーポン(GHP)やボイラの省エネをサポートするシステムを導入し、すべての店舗で高い省エネ効果を生み出している。
省エネ対策に独自で取り組んでいくには限界があろう。業界の変化を前向きに捉えながら専門家とともに取り組んでいくことが、よりよい施設づくりと運営効率向上の双方を実現する近道かもしれない。最後に小林氏は「今後はお客さまも巻き込み省エネに取り組むことで、今以上にその街の環境に優しい施設になれるといいですね」と語るなど、今後もメガロスが地域に欠かせない存在となることを目指していく。