世界を再び動かす

Technogymは、創業40周年を迎え、グローバルレベルでデジタル・エコシステムの構築に取り組んでいる。製品やテクノロジー、デジタル、サービス、ビジネスモデルなどあらゆるレベルでイノベーションを起こしてきたが、創業者であり、CEOのネリオ・アレッサンドリ氏の世界観には、どのような視野、視座、視点があるのだろうか。

Technogymのデジタルウェルネスソリューション

『CLUB BUSINESS INTERNATIONAL』（本誌連携）は、アレッサンドリ氏にインタビューしている。Technogymの歴史、イノベーション、ブランド、市場でのリーダーシップなど様々語られた。その主要なポイントは、下記の通り。

• ボディビルディングやフィットネスが主流だった30年以上前から、Technogymはもっと幅広い、あらゆる人々を受容する「ウェルネス」という考え方を提唱してきた。健康や長寿が重要課題として扱われる現在、我々の考え方は市場成長のうえで正しいものだと信じている
• Technogymの成長を常に支えてきた重要な原動力はイノベーションであり、Technogymのブランド価値は、“ウェルネスカンパニー”という表現に集約され、その使命は、「Let's Move fora Better World（より良い世界のために体を動かそう）」にある。
• Technogymは、私が22歳のとき、自宅のガレージで「世界を再び動かす」という夢を抱いて生まれた。それ以来、ウェルネスのパイオニアとして、ソフトウェアやデジタルにおいても数々のイノベーションを起こしてきた（表）
• 色々な外部ソフトウェアやアプリ、デバイスと連携可能なオープンプラットフォームをベースに、AI活用型製品の開発を進めている。例えばユーザー評価デバイスとして今年発表したTechnogym Checkupは、６種類のテストで収集されたユーザーデータをAIコーチが評価して、ニーズ、目標、身体状態に合ったプログラムを処方してくれる。AIコーチが処方したプログラムを制御するBiostrengthは、完全にパーソナライズされた筋力トレーニングを実現する
• さらに、クラブ運営において、我々が開発したMywellness CRMプラットフォームがユーザーとオペレーターのDXをサポートしてくれる

◆表　Technogymのリーダーシップ

今後はパーソナライズ×体験価値

アレッサンドリ氏は、業界の将来をポジティブに捉えていて、今後、クラブがメンバーに寄り添うためには、異なるニーズ、目標、身体状態の人々を個別に管理し、プログラムとサービスをパーソナライズできるかが重要だという。コロナ禍を経てメンバーのフィットネス・ウェルネスの感度が高まり、業界成長の大きな可能性があることは言うまでもない。

加えて、体験価値の向上が求められるという。

「ボリューム戦略（メンバーシップを売るためにマーケティングと価格設定に注力し、サービスにはあまり注力しない）は長期的に続きにくいが、価値戦略（サービスの個別化、品質、環境への配慮）は、長期にわたる持続性と利益を保証するだろう」

幅広いニーズへの対応と業務効率性

日本はどうか。女性やシニア層、初心者のフィットネス参加が増加して、一層幅広いユーザーニーズへの対応がクラブに求められている。一方でパーソナライズされたサービスやプログラムの提供にあたっては、施設には会員定着率の向上や会費外収益の向上をもたらす大きな可能性があるものの、業務効率性も考慮しなければならない。

その中で、Technogymがグローバルで培ってきたデジタルイノベーションは、日本市場におけるビジネスチャンスや課題に対応する的確なソリューションをもたらすことは間違いない。

世界を再び動かす

今日、世界中で毎日7,000万人以上の人々がTechnogymのトレーニングを利用している。これからも、製品、テクノロジー、マーケティング戦略は時代とともに変化し、進化するだろう。

しかし、Technogymの“世界を再び動かす”という夢は決して変わらず、メンバーとクラブオペレーターのウェルネスをサポートしてくれるだろう。