株式会社FiTが展開する24時間フィットネスジム「LifeFit」は、同社社長である加藤恵多氏が京都大学在学中の2020年、20歳で起業したパーソナルジムを起点とし、4年間で70店舗に拡大している。その過程に事業資金が必要となるが、同社はエクイティ出資、金融機関融資とも、資金提供側の評価を得て資金調達を実現。直近では京都銀行から6億円の融資を受けており、これまで累計で20億円を調達をしている。そのビジネスモデルを探るべく株式会社FiTの「LifeFit」事業の取材に加え、融資を実行した京都銀行にコメントをいただいた。

  • 株式会社FiT
    代表取締役
    加藤恵多氏

資金調達の背景と経緯

先に、株式会社FiT(以下、同社)が展開する、「LifeFit」の特徴について触れておきたい。「LifeFit」は、「国内で最も通いやすさを追求した次世代型フィットネスジム」をテーマに、「月3,278円(税込)で通い放題」「専用アプリで手続きが完結」「豊富なマシンラインナップとスタイリッシュな空間」等を特徴としている24時間フィットネスジムである。

この事業を牽引し、成果を導き出しているのは、同社代表の加藤恵多氏の手腕によるところだが、事業スタートは京都大学在学中という。

加藤恵多氏は再生医療の研究をしたいと京都大学に入学。しかし病気を治す医療の研究は10年、20年の長期的な研究。身近なたくさんの人に健康を、もっと手軽に届けたいという気持ちに変わっていく。これは大学在籍中に取り組んだラグビーのトレーニングがきっかけである。トレーニングに励み身体が変化した経験も起因しており、自分の身体の変化を回りの人に伝えることに使命感をもち、自ら、マンション1階のワンルームを借り、パーソナルジムを開業、これが事業のスタートとなった。

「バイクを買おうとして貯金していた50万円を元手に、すべてDIYで店をつくり開業した」という加藤氏。しかし「パーソナルジムの運営では、頑張っても1日10名程度の対応と限界がある。もっとたくさんの会員に使ってもらえる仕組みを作りたいと思った」

そこで2店舗目は、学生限定のフィットネス施設を作ったという。40坪ほどのスペースで会員制として事業計画を立てると、開業費に500万円は必要で、この時に資金調達の必然性に直面する。そこでクラウドファンディングに挑戦し、400万円の支援を得る。当時この金額は、学生企業としては日本一の支援額となった。また親からも500万円を借り入れて2020年12月、21歳の時に会社を創業し、法人登記もして、学生限定の会員制ジムを、京都市内に40坪で開業する。会費2,500円~の低価格で提供したところ、半年で約400人の登録を獲得した。

「利益もしっかりと出て、1年で親から借りた500万円も返済した」。

経営を進めると手応えと同時に、次の課題感も出てきた。学生限定だと会員の移り変わりも多く、会員管理の面で顧客管理システムの重要性を認識する機会となった。また適正価格帯であれば需要があることも実感、多店舗化に商機があるとみたが、店舗に加藤氏自身が立ち運営をしていたため、次に向かう準備や行動ができないことを課題と感じていた。

そこで次のステップとしてITの活用を掲げる。IT活用することで効率化・省力化を図り、低価格で品質の高い施設を運営する仕組みづくりの構築を目指していく。その実現こそが全国展開の布石となるとみて、このタイミングで、「LifeFit」のブランドが立ち、事業計画がスタートしたという背景になる。

▶続きは本誌をご覧ください。