2013年にオーストラリア・シドニーで創業したファンクショナルトレーニングブランド「F45 Training(以下、F45)」が、世界55カ国以上、約1,500店舗を展開するなかで、日本を戦略的重点出店国に位置づけている。
F45本部がその意志を固めた背景には、日本での先行モデル「F45 Training浜松町」の存在がある。同店を経営するジョン・竹岡氏になぜF45に参入したか、また経営動向について聞いた。
24時間ジムFC加盟でフィットネス事業に参入
「F45 Training浜松町」は、2020年3月に国内第1号店として日本でいち早くFC加盟店舗として開業した。その事業オーナーとなった竹岡氏は、なぜ、F45を選んだのか。
竹岡氏は、金融業界で株式トレーディング、トレーニングシステムセールスを手掛けてきた経験を持つ。金融マン時代からいずれ自ら何等かの事業を立ち上げたいと考えてきた。
フィットネス事業参入の契機となったのが、2014年エニタイムフィットネスとの出会いだった。当時、日本では24時間ジムが普及し始めた時期。会費が比較的低価格で、必要なマシンを揃え、好きな時間に利用でき、人的配置は最小限で安定した経営ができる仕組みに事業の将来性を感じ、共同経営者とともにFCに加盟し、板橋区高島平に店舗を出店、順調に入会も進んだ。
「場所をしっかり選んで、会費を積み上げることができれば収益化にも繋がり、非常に優れたビジネスモデルと思った」。ここでフィットネス事業の経験を積み、立地や賃料、商圏、会員数から事業性を判断するFC経営の基本を学んだことが、後のF45の参入につながった。

F45への参入決め手は「コミュニティ」
転機は2019年頃。米国の友人からF45の存在を聞いたことだった。海外ではHIITやファンクショナルトレーニングをグループで行うスタイルが伸長していた。竹岡氏自身もかねてからジムに通う傍ら、オレンジセオリーフィットネスにも入会しグループレッスン市場を研究していた。
F45は「Functional 45」の名の通り、1レッスン45分。モニターに映し出されるワークアウトをステーションごとに行うサーキット方式で、HIIT、有酸素運動、無酸素運動、レジスタンストレーニングを組み合わせる。80種類以上のプログラムが世界共通で標準化され、認定コーチが参加者をサポートする。
竹岡氏が魅力を感じたのは、有酸素運動から筋力トレまで45分で完結する点だった。「運動だけではなく、コミュニティがすごい。頑張っている仲間を見ると自分も刺激され、もう少し自分を追い込める」。終了後には参加者同士がハイファイブを交わす。24時間ジムが1人で効率よく鍛えるモデルなら、F45はコーチや仲間との一体感や高揚感まで共有できるもの。竹岡氏はそこに、日本のフィットネス市場にまだ少なかった価値を見い出した。
浜松町で実証した日本市場の可能性
そこで竹岡氏はFC本部に自ら掛け合い加盟の許諾を得る。2020年3月14日、港区芝大門にF45 Training浜松町を開業した。地下鉄大門駅の地上すぐの路面に面したビル1階を入口に、58坪の地下トレーニングスペースを備え、1レッスン30人前後に対応ができるスペースを確保した。偶然出会えた同物件は、F45の施設基準にも適合していた。
しかし開業直後、新型コロナウイルスの感染が拡大。この厳しいスタートを支えたのがF45を知る外国人だったという。「F45の楽しさを知る日本在住のビジネスマンが来店してくれた。その傾向は今も続いている」。
開業当初は外国人が会員の6割以上を占めたが、現在は日本人が過半となり、会員は200人規模へ。中心は30~40代で、男女とも半数。月会費は平均2万円台中頃という高単価ながら、F45を目的に遠方から通う会員も多いという。
近年は世界的フィットネスレース「HYROX」との連携も追い風だ。F45はHYROXとグローバルで連携しており、浜松町店も早期にHYROXのアフィリエイトジムとなった。レースという目標のトレーニングの場として、新たな顧客接点が生まれている。
2026年、F45が日本でFC展開を本格化する方針に、竹岡氏も希望する事業者にビジネスの良さを伝え、ともに事業を広めていこうと支援体制に入っている。少人数運営と世界共通のプログラム、セミパーソナル的なコーチング、そして継続を促すコミュニティ。45分間の体験そのものを商品化するF45は、日本のフィットネス市場に「コミュニティ型ジム」という新たな選択肢を提示しようとしている。