健康日本21(第二次)最終報告書が公表

厚生労働省は、平成25年から開始した「健康日本21(第二次)」について、報告書を取りまとめ、概要と全文を公表した。

厚生労働省では、生活習慣病やその原因となる生活習慣の改善等に関する課題について目標等を選定し、国民が主体的に取り組める新たな国民健康づくり対策として「21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を推進している。

推進開始当初、目標設定後10年を目途に最終評価を行うこととされていたことを踏まえ、令和3年6月から「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会」及び「健康日本21(第二次)推進専門委員会」において、「健康日本21(第二次)」の最終評価が行われた。

改善傾向が見られるも変化なしの項目も3割弱

健康日本21(第二次)においては、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標」や「栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標」など、全53項目の目標が設定されており、最終評価の結果は図1のとおりだ。

「A 目標値に達した」と「B 現時点で目標値に達していないが、改善傾向にある」が合わせて28項目(約5割)である一方、「C 変わらない」と「D 悪化している」が18項目(約3割)となっている。

図1.健康日本21(第二次)全53項目評価結果
※厚生労働省HPよりFitness Business編集部作成

なかでも「B 現時点で目標値に達してはいないが、改善傾向にある」が全体の約4割と最も多くを占める結果となり、目標値の達成よりも、改善傾向というところで留まっている。

運動習慣者も大きく変化なし

フィットネス業界も貢献しなければならない「身体活動・運動」について見てみると、こちらはほとんどの項目で「C 変わらない」という結果になっている。

「③住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加」が改善傾向(目標年度までの到達が危ぶまれる)にあったのに対し、国民一人ひとりの歩数や運動習慣者数は、増加していないという結果であった。運動や健康に触れる機会は増加しているにもかかわらず、行動変容にまでは至っていないようだ。

20~64歳女性では悪化

ほとんどの項目で「C 変化なし」であったが、20~64歳の女性においては、「D 悪化している」という結果になった。厚生労働省も同報告書において、「令和元(2019)年度における成⼈(20歳〜64歳)の運動習慣者の割合は男⼥とも低い割合であるが、20 歳〜29歳、30歳〜39歳の⼥性の割合が12.9%、9.4%と特に低い割合である。歩数と同様、調査の継続による課題の抽出及び若年⼥性層をターゲットに含んだ啓発活動に取組を発展させることにより、本課題の改善を⽬指す」と特に若年層の女性に対してのアプローチの重要性を指摘している。

近年、女性専用ジムなどが成長してきているが、ここは改善をするべきポイントでもある。さらなるニーズに応えていくことでより成長が見込める市場である。

20~64歳 運動習慣者の割合の推移(左:男性 右:女性)
65歳以上 運動習慣者の割合の推移(左:男性 右:女性)
年齢階級別 運動習慣者の割合の推移(左:男性 右:女性)
運動習慣者の割合(20歳以上、性・年齢階級別)令和元(2019)年

国をあげて、10年間にわたり実施された健康日本21において、改善された項目もあるが、この「健康」という面においては、まだまだ国として伸びしろがありそうだ。各フィットネスクラブも、国民の傾向を捉え、多くの人が「健康」にタッチできるポイントをつくり、そして運動をいかに習慣化させていくかが重要になるだろう。

引用:厚生労働省HP 健康日本21(第二次)最終報告書