現在、順調に運営をしている企業であっても、ここまでくる道のりでは様々なことがあっただろう。どのような苦労や失敗を乗り越え、またどこに成功要因を見つけたのか。当業界のリーダーらから、それぞれが学んだことについて披露していただく本連載。第44 回目は、株式会社MIGRIDS 代表取締役社長 鈴木太郎氏にお話を訊いた。

 

フランスで一文なしになる

鈴木氏は、現在、33歳。25歳まで会社員として働いていたが、その後、独立してwebマーケティングを学び、一棟貸切の宿「GOBANCHI」と、フィットネスのメディア「SuzuTarog」の運営、パーソナルジムの「ELEMENT」を全国に24店舗展開している(Fitness Business通巻120号参照)。

フィットネスには、学生時代から慣れ親しんでいる。単刀直入に、これまでの苦労や困難について訊くと、たくさんあると言って微笑む。

「会社を辞め、世界を1周しました。海外で働きたくて国を探していたら、縁あってフランスで働くことになりました。それが27歳のときです。フランスでは、その会社の社長と同居していたのですが、けんかしていまい、1ヶ月で家を追い出されてしまったのです。世界1周し終わった後でお金もなく、クレジットカードの支払いなどで、もはやマイナス。一文なしになりました。ですが、ここで日本に帰ったら負け癖がつくと思い、帰国せず、ゲストハウスの管理人をやりながら、空いた時間でwebマーケティングを独学で学び、仕事にしました。初めて稼いだ金額は75,000円。管理人をやりながらこれだけの収入があるのなら、フルタイムで働けば約15万円になる計算でした。そこで、ゲストハウスは1ヶ月半で辞め、家賃75,000円の家に入居して、100円のフランスパンをかじりながら、ずっと仕事をしていました。さらに、貯めたお金で、パリにアパートを借りてAirbnbを始めました。パリは世界一の観光都市で観光客が多く、ホテルの宿泊費が高くなっています。なので、安く泊まりたい人や、中心市街に泊まってパリで生活している気分を味わいたい人向けにAirbnbを始めたのです。途中からは、アルバイトの人を雇ったりして清掃などを任せました。一文なしから仕事をつくるところまでやり、困難に対する挑戦と努力の日々でした。私は、決断したらすぐに新しいことに挑戦するなど、行動は早いほうだと思い