クラブを運営するうえで、体験からの入会獲得や入会者の継続利用といった成果へつなげる設計は、数多くの競合が存在するなか、年々難易度を増している。そうした課題に対し、AI姿勢・動作分析アプリ「Sportip Pro」を活用し、明確な成果を上げている事例が増えている。本稿では、株式会社Sportip(以下、同社)の営業戦略本部でカスタマーサクセスマネージャーを務める松本渉氏への取材をもとに、現場にもたらした具体的な成功事例と、その背景にある考え方を紐解いていく。

株式会社Sportip 営業戦略本部 カスタマーサクセスマネージャー 松本 渉氏

 

 

 

 

 

「姿勢解析体験イベント」を通し「接点不足」という課題を解消

最初の成功事例は、総合型フィットネスクラブ。複数のフロアに施設が分かれており、同ジム以外の施設利用者に対して十分なアプローチができていなかった。その結果、体験数が伸び悩み、新規入会の減少が経営課題として顕在化していたという。

こうした状況を打開するため、同社はSportip Proを活用した、気軽に参加できる「姿勢解析体験イベント」を提案。別フロアの利用者に体験促進を図り、その場で姿勢を解析し、課題と改善の方向性を可視化する。その流れから同ジムのパーソナルトレーニングへつなげる導線を構築した結果、4日間で約50名にアプローチし、従来の体験者数を約2倍に増やすことができた。

「説得力にもつながる解析結果が数値で示されることにより、体験利用者の納得感が高まり、スタッフとの自然なコミュニケーションが生まれる機会になった」と松本氏は振り返る。

ピラティススタジオの入会率を改善

パーソナルピラティススタジオが、2つ目の成功事例となる。同スタジオでは体験からの入会率が3~4割にとどまり、事業成長の足かせとなっていた。加えて、集客が女性中心に偏り、男性層への訴求ができていない点も課題だった。

そこで実施したのが、「Sportip Proを軸にした体験プログラムの再設計」だ。入会前の体験を1回から2回に変更し、2回それぞれ、体験レッスンのビフォーアフターに姿勢解析を行い、合計4回の解析結果を明確に提示。身体の変化を「見える成果」として体験者に届けた。

結果、入会率は1ヶ月で約90%まで向上する。同氏は「ただ体験するのではなく、レッスンを通じ変化を実感してもらう設計が重要だった」と話す。姿勢改善という切り口が、肩こりや腰痛に悩む男性層への訴求にもつながり、顧客層の拡大に貢献することができた。

解析から「総合評価」や「具体的な改善ポイ ント」が示される

他施設との差別化を内製で実現

3つ目の成功事例は、競合がひしめく都心部のコンディショニングジム。豊富なストレッチ機材を備えていたものの、それを明確な強みとして打ち出せていなかったジムに対し、Sportip Proと同社の特性を最大限に活かす。

利用者の姿勢分析結果から「施設内の既存機材を用いて実施できる改善メニュー」を自動で提案し、その提案までの筋道を導入先ごとにカスタマイズしていくという。

“ただ単にサービスを導入してもらい終わり”ではなく、自社カスタマーサクセスチームが伴走しながら、オリジナルの運動提案モデルを構築し続ける。それにより、姿勢分析から具体的な行動提案までを一気通貫で提供できるようになった。同ジムは、他施設との差別化が明確に図れただけでなく、姿勢解析を付加価値サービスとして料金設定を行う。既存の機器を有効活用し、収益向上も同時に実現した、好例といえるだろう。

成果を生み続けるための“伴走型支援”

2018年の創設以降、Sportip Proの導入実績は1,000店を超え、個々にぴったりなフィードバックのパターン数は24億以上、改善が実現できるトレーニング数は2,295以上を誇る。

松本氏は自社の強みの1つを「導入いただいた後のカスタマーサクセス」と話す。その根源は、自社の理学療法士などの専門人材も交えてクライアントと定期的に課題を共有しながら、成果創出まで伴走する体制づくりにある。

今後、空間に溶け込み、カメラの存在を感じさせない“リアルタイム解析技術”の開発を進め、より自然な形で姿勢・動作を分析できる世界を目指していくという。「立っているだけ、動いているだけで、フィードバックが得られる環境は、無人化や安全性の向上にもつながる」と同氏は力強く語る。

Sportip Proは、単なる分析ツールにとどまらず、フィットネス事業の在り方そのものを、さらなる高みへと進化させようとしている。