VIDA FITNESS(以下、VIDA)のオペレーションディレクターであるアーロン・ムーア氏は、社内でDEI(Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性))委員会を立ち上げようとしたとき、「上手くいっていると思っていても、皆に声を求めれば、今まで言いにくかった悩みを打ち明けてくれるはずだから」と賢明なアドバイスを受けた。その後、実際にそういった問題があると知ることになる。
VIDA FITNESSはいかにして効果的なDEIプログラムをつくり上げたか?
2006年にデイヴィッド・フォン・ストーチ氏が設立したVIDAは、ワシントンDCに5店舗、バージニア州アーリントンに1店舗の計6店舗を構えるまでに成長した。現在もオーナーであるフォン・ストーチ氏は、DEI構想の熱心なサポーターであり、ムーア氏はこの構想を実行に移した。
VIDAのDEIの取り組みは、2020年夏に広まった「Black Lives Matter」のデモの中で始まった。VIDAが位置するD.C.は、黒人の人口が45%の地域であり、ムーア氏ら同社のリーダーはこれに対応しなければならないと考えていた。
VIDAに15年以上勤務しているムーア氏は、「こうした社会正義のイベントを巡っては、人種間の緊張が高まっており、社員からもそのような声が聞かれました」と話す。
「私たちはタウンホールを開催し、どうしたらいいかという質問を始めました。そして、ある人がDEI委員会をつくり、顧問的な役割を担うことを提案したのです」
VIDAの社員として最初に委員会に招かれたのは、VIDAのローガンサークル店のジェネラルマネージャー、ミカエル・ブラウン氏だった。ブラウン氏は、このミッションに理想的な経歴を持っていたのだ。ブロンクスで育ったブラウン氏は、奨学金を得てジョージタウン大学に入学した。日本語と政治学などを学んで2003年に卒業し、その後、地元のジムでフロアトレーナーとして初めてフィットネスの仕事に就いた。
その後、2018年にVIDAに採用されてからは、すぐに出世することとなる。「私は多様性を体現している」と、ブラウン氏は自身の経歴を要約する。「a Black girl from the Bronxwh