神奈川県茅ケ崎市に本社をおく株式会社林水泳教室(以下、林水泳教室)が、コロナ禍真っ只中の2022年9月にOPENした「HAYASHIフィットネス&スパリゾート24平和台(以下、平和台)」は、2023年9月にオープン後1周年を迎える。

1967年創業の同社は、2020年度を第二創業期初年度と位置づけ、2017年には、取締役社長室長コーポレート統括本部長として川中 浩氏を招聘し組織の基盤構築を行った後、2020年4月からは、これまでフィットネスクラブ各社で開発責任者を歴任した吉永大介氏を執行役員開発本部長として招聘。新規出店活動を展開している。

また、2021年6月からはリオデジャネイロオリンピック日本代表コーチ等を歴任した村上二美也氏を執行役員ヘッドコーチとして招聘し指導体制を強化しきてた。

平和台はこの新体制での第1号店であるが、1年目の最終月である2023年8月の退会率において、2.6%台を達成するという快挙を成し遂げた

運営年数が20年以上、会員の年齢構成が高齢化し、かつ会員数が1,000名~2,000名のレンジのクラブであれば、達成可能な数値とも言える(それでも稀なケースだろう)が、平和台は、フィットネスクラブ会員数が4,000名を超え、20代の構成比率が27%超、平均年齢43歳のクラブで、オープンして12ヶ月目というクラブである。本来は退会率が高まる要因しかない状況下での、2.6%台の退会率の達成は、控えめに表現しても偉業である。

同社の執行役員開発本部長 吉永大介氏は、「25年前から現在進行形で業界内に横行している、【低価格=高退会率・大量集客・新規入会重視モデル】【高価格=低退会率・既存顧客重視モデル】という根拠が希薄なステレオタイプの見解とその結果としての在籍会員数低下によって蔓延している総合型業態限界論に楔を打てたのではないでしょうか」と話す。

同社では生活者の経済状態によってフィットネスクラブへ参加したいと希望する方が諦めないでフィットネスクラブへ通える世界の実現を「フィットネス民主主義の実現」と定義し、生涯追及すべきロマンとして、バリュープライスでフィットネスクラブライフを提供する事を最重要のミッションとしている。

一方で対象顧客を以下の通り明確に定義し、施設構成・オペレーションシステムを対象顧客に合うよう一貫性を持って整備してきた。

  1. 自己責任意識を有する一般大衆
  2. 自己管理意識を有する一般大衆
  3. 他者に配慮ができる一般大衆
  4. スマホ・クレジットカード決済・WEB入会手続き等、日進月歩で進化するテクノロジーにキャッチアップする意欲と意思を有する一般大衆

2.6%台という退会率は、対象顧客像を明確にし、施設構成・運営システムを整合性を整えて整備したうえで、昨今の総合型業態で主流となっている会費値上げ、スタッフ数の削減と真逆のバリュープライス、スタッフ数の増員・労働環境の徹底整備という逆張りの経営施策が功を奏していることを認めざるを得ない数値だ。

同社の今後の経営に注目したい。