インクルーシブデザインの発想をもとに、障害のある方もない方も、あらゆる世代の方々にスポーツ・文化を通じての健康で文化的な社会形成に貢献することを目指し、岐阜・愛知でフィットネス事業を手がけるドルフィン株式会社(以下、同社)。福祉の視点を取り入れ、独自のイベント戦略で高い顧客満足度を実現している。そうしたなかで、体系化された質の高い指導法と次世代育成を求めて選んだのが「エイベックス・ダンスマスター」だ。その背景にある思い、成功の秘訣を同社専務取締役の小森常宏氏に訊いた。


ドルフィン株式会社
専務取締役
小森常宏氏


スキルの「可視化」で指導の質を追求

スイミングスクールの運営を軸に40年以上の歴史を誇る同社が、次なる事業の柱として白羽の矢を立てたのが、社会的に関心が高まりつつあったダンス。しかし、直営で先行展開していたダンススクールでは、指導法はインストラクター個々に委ねられ、確立されたメソッドを持たない「我流」。この状況に、スイミング指導者でもある小森氏は事業者として葛藤を抱えていた。

「水泳では歴史や泳法まですべてを体系的に学びます。当時のダンスは人によって教え方が異なることが多く、あいまいな部分もあり、その指導で対価をいただくことに、プロとしての責任を強く感じていました」

サービスの品質に対するその強い責任感がパートナー探しの原動力となり、「探求の末にエイベックス・ダンスマスターにたどり着いた」と同氏。「人に依存しがちだったスキルアップの過程が“見える化”されており、全国統一のカリキュラムと検定制度が私たちの抱えていた課題への明確な答えだと感じました」と続ける。

当時、エイベックス・ダンスマスターは東海エリアに未進出だったが、小森氏の熱心なアプローチが実り、2010年に4施設での導入がスタートした。

顧客満足と社員育成を両立

導入にあたって、そのサービスの質の高さはもちろん、ブランド力にも大きな期待を寄せていた。小森氏は「都市部から少し離れた場所だからこそ、保護者世代にもなじみ深いエイベックスのロゴは強く響くという確信があった」と語り、期待以上の成果が得られているという。

その価値を最大化するとともに、同社の独自戦略を象徴するのが「MULTISTUDIO DoWELL」の設立だ。愛知県一宮市の一宮校と、岐阜市の岐阜校の2校があるが、岐阜校は公共施設内での運営が困難になり、プログラムと生徒を守るためダンス専門スタジオとして新設。エイベックスの強力な集客力を柱に事業の核へと成長を遂げた。

顧客満足度を高めるもう1つの戦略が、10年以上続く大規模な独自の発表会「DANCE SELECTION CRUISE」(以下、DSC)だ。プロ仕様の本格的な舞台は子どもたちにとって「最大の自己表現」の場であり、ステージで輝く我が子の姿は保護者にとっても大きな喜びに繋がる。

さらに同氏は、DSCのもう1つのメリットとして「あれほどの舞台を自ら作り上げる経験はなかなかできません。社員教育としても非常に有効な機会と考えています」と語る。

 

地方の人材不足解消にも伴走

今日では、同社にとってエイベックス・ダンスマスターはプログラム提供の枠を超え、事業課題を共に解決するパートナーへと進化。その好例が2025年4月に実現した岐阜県の「郡上市総合スポーツセンター」への導入だ。

同社が20年ほど前から指定管理者として運営しており、ダンスレッスンも提供していたが指導者不足が深刻化。交通の便がよくないことから、エイベックスのインストラクター派遣は難しいと考えていたが、エイベックス側から安定的な派遣が可能との提案を受け、「エイベックス・ダンスマスター郡上校」を開校。従来の受講料を上回る価格設定ながら、多数の入会があり「質の高いものには相応の対価が支払われると再認識しました」と小森氏。

また、かつて紙媒体中心だったプロモーションは現在、webやSNSをはじめ多様なチャネル活用へと移行。エイベックス・ダンスマスターの運営サポートや各種施策も、市場変化に迅速かつ柔軟に対応し、多方面から事業運営を支援する体制を整えている。この点も、同社が高く評価するポイントで、「『顧客を飽きさせない』という部分でエイベックスとは共通項が多い」と同氏。

常にアップデートし続け、地域の期待と信頼を高めていく両社の取り組みに今後も、注目していきたい。