「誰もが参加できるフィットネスレース」を掲げる屋内型レース「HYROX(ハイロックス)」が、日本市場で本格的な成長局面に入りつつある。1kmのランニングと8つのファンクショナルムーブメントを組み合わせた競技形式は、フィットネス愛好者に新たな目標を提示するだけでなく、施設運営、人材育成、地域集客を巻き込む新しいスポーツビジネスとして注目されている。2025年の横浜での開催に続き、2026年1月30日より3日間、大阪で「AirAsia HYROX OSAKA」を開催し、約8,100人の競技参加者を集めた。熱気に包まれた3日間を見ると、日本市場での可能性は大きく、HYROXの現況を紹介する。
世界に広がるHYROX
HYROXは世界で急拡大しているが、2025年には世界80以上の都市でレースが開催され、55万人以上のアスリートと約35万人の観客が参加。HYROXはすでに単なるスポーツイベントに止まらず、スポーツを目的としたツーリズム型のイベントにも定着しようとしている。アジア太平洋地域でも拡大は著しく、シンガポール、台湾、香港、韓国などで開催数が増加している。特に韓国では市場の立ち上がりのスピードが速く、2026年5月開催予定の大会では発売初日に1万人枠が完売し、その後1万5000人規模への追加対応が必要となるほどの反響を見せており、開催国の参加ではなく世界から参加者がイベントを目指し集結してくる。
成長の背景にあるのが、HYROX独自のビジネスモデルで、世界共通の仕組みを持つことだ。収益の柱は、大会参加料、スポンサーシップ、物販といったレース事業が中心となるが、参加者の啓蒙や指導のため、フィットネスジムやトレーニング施設のトレーナー等がアフィリエイターとなるためのノウハウを取得するアフィリエーション事業があることも特徴だ。よって、HYROXは自社で専用施設を持つことを重要視せず、既存のフィットネスクラブやスポーツジムと連携し、トレーニング環境を広げていく戦略を採っている。施設側はHYROXの名称やトレーニング素材、育成プログラムを活用して会員向けサービスを拡充でき、コーチは競技に即した指導法を学ぶことで新しい専門性も獲得できる。競技参加者にとっても、日常のトレーニングとレースが自然につながる仕組みになっている。