兵庫県神戸市を中心に、長年にわたりテニススクール・テニスクラブを経営、指定管理の受託を含め18事業所を運営する株式会社ITC。2025年7月には「ITC神戸インドアテニススクール」のテニスコート2面を改修し、ピックルボール専用施設「DIADEM PICKLEBALL KOBE(DPC KOBE)」を開業した。レンタルコート、レッスン、イベント、オープンプレーなどのサービスを提供し、今年4月よりメンバーシップ制を導入する同施設の開業経緯や今後の展開について、株式会社ITC代表取締役 中村久仁子氏と、同取締役 向正行氏にも話を聞いた。
新興スポーツとしてのピックルボール事業の可能性
同社はピックルボール専用コートの開設に至った経緯について、「テニススクール事業は、一時期のような勢いがないという現況がある」と中村氏は話す。一番の伸び悩みはジュニア。その要因としては、少子化ながら子どもの習い事を絞り込む傾向が生まれ、学習塾と一部スポーツ(スイミングなど)が優先されていることが大きいという。「勉強と運動の根本的なところを押さえたい、という保護者のニーズがあるように思う。テニスは身体を使いながら瞬時に判断をするという面で脳への刺激も多く、学業にもいい影響を与えるスポーツだが、そうしたメリットを訴求しきれていない」(中村氏)。
また、大人向けのテニススクール会員の高齢化も進んでいる。昔からの会員が長く継続していただけている一方で、若い世代の会員が少なく、新規入会も思うようには促進できていない状況だ。「錦織圭選手の活躍などで会員数が急激に伸びた時期もあったが、現段階では波及効果を期待できる要素は少ない」(向氏)。
レベル別スクールから個々の会員の要望に沿った柔軟なプログラムに対応する目的別スクールへと切り替え、オリジナル色を打ち出すことで新たな顧客層の獲得に努めている。
こうした中でピックルボールに着目したのは、同じテニス業界にいる人たちが口々に「ピックルボール体験」を語るのを聞いたことがきっかけだった。中村氏は「最初にピックルボールを知った時、『これはイージーテニスと同じだ』と思った」という。イージーテニスは軽いボールと小さなラケット、小さなコートで行う、大人も子どもも手軽に楽しめるテニスで、2018年に同社が開発し、専用のイージーテニスステーションを開設