CCCグループが力点を置く事業セグメント「ウェルネス事業」の戦略説明会が3月4日、代官山蔦屋書店「SHARE LOUNGE」で行われた。CCCグループのウェルネス事業の方向性についてカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO 髙橋誉則氏が登壇し説明し、また、同社事業に止まらず業界課題の解決に向けたインストラクター向けの新団体設立も同時発表した。また、CCCグループのFC事業を行うカルチュア・エクスぺリエンス株式会社 代表取締役社長 鎌浦慎一郎氏が、「TSUTAYA Conditioning」の店舗拡大方針について説明した。

  • 髙橋誉則氏(左)
    ピーラ理事 鈴木亜希子氏(中)
    鎌浦慎一郎氏(右)
     

空間価値・体験価値を活かしウェルネス事業に注力へ

CCC グループが狙うウェルネス事業のポジショニング

2025年に会社設立40周年を迎え、新たなパーパースを「企画で、世界を素敵な場所にする」と設定して、次の未来創造に動きだしているCCC。代表の髙橋氏は、同社が空間価値・体験価値を軸に事業を企画・展開し、書店の枠を超えた「蔦屋書店」や「SHARE LOUNGE」等、生活者の「居場所」をつくる取り組みを行ってきた。CCCグループは、次の成長領域としてウェルネス事業に定め、事業拡大に注力する方針を示した。

生活者がウェルネスを実現するには、カラダもココロも健康であるだけでなく、社会とのつながりも重要で、CCCが得意とする空間設計や体験価値が、新しいライフスタイルづくりに貢献をしながら、ウェルネスの場を事業として提案していく。

市場環境を見てもウェルネス分野には成長の可能性がある。世界のウェルネス市場が2024年に約1,045兆円と巨大である一方、日本の市場規模は2024年に5,389億円。日本には伸びしろが大きいと説明。そこで日本のウェルネス市場の課題には3つの数値があると解説し、以下を挙げた。

①平均寿命と健康寿命の差が約10年あること

②健康への関心は同社調査では81.4%と高いこと

③一方で国内の「鍛える」ことを目的としたジム参加率は5.02%と低水準であること

上記から、「関心と行動のギャップがある」とした。

そこでCCCは「鍛える」領域ではなく、無理なく続けられる「整える」領域に着目し、健康に感心はあるがジムに通っていない78.1%をターゲットにしてサービスを提供し、「整える」ことを継続させ、健康寿命の延伸や医療費・保険料負担の抑制といった社会課題解決に寄与したいと考えている。

インストラクターの社会的価値向上を目指す、協会設立へ

一般社団法人ピラティス&ヨガライフスタイル協会の支援内容
(サービス内容は現時点のもの。サービスは2026 年6 月より順次開始予定)

また髙橋氏は、「体験価値の中心にはインストラクターがいる」と強調。ウェルネス事業開始後、CCC独自に、インストラクターの斡旋・代行管理などを行う「WELLNESS DATABANK」を事業譲受し立ち上げ、全国各地から登録者を集めてきた。その結果、2019年1,180人であった登録者数は、2026年2月末には3,450名になっている。

DATABANK 登録者には、CCCが展開する「TSUTAYA Conditioning」での活動のほか、自治体、各種イベントへの指導等に登録者を紹介している。なかでも代行管理はインストラクターにとってはありがたい仕組みだ。

インストラクターを支えるこの組織を、CCC単独での取り組みだけでなく、業界全体で活用しインストラクターの社会的価値向上や、持続的なキャリアの維持として捉え、企業の枠を超えて解決に向かうため、新組織そして「一般社団法人ピラティス&ヨガライフスタイル協会(通称:ピーラ)」の設立を発表した。

ピーラ理事の鈴木亜希子氏は、設立の狙いを「インストラクターという職業の未来を構造から変えること」と語った。鈴木氏は、無人化・DXの進展により利便性が高まる一方で、レッスン本数の減少、単価下落、オンライン資格の乱立などにより、インストラクターの価値が相対的に低下していると指摘。課題として、専門性標準化の不足、報酬の不安定さ、ライフイベントや体調不良でキャリアが途切れること、個人事業主ゆえ横のつながりが弱いことを挙げ、「個人の努力ではなく仕組みの問題」だと訴えた。

ピーラは2026年1月7日にすでに設立しており、

①社会的価値の向上

②持続可能なキャリア基盤の構築取り組みの柱として

(1)育成・認定(理論/実践/倫理に基づく信頼される専門性)

(2)活動基盤整備(仕事紹介、代行支援、保険制度等)

(3)継続成長の場(ワークショップ、コミュニティ形成)

を提示し、「憧れから尊敬される職業へ」「努力と実力が正当に評価される社会」を目指すと述べた。

ピーラの必要性や期待に対しては、本誌編集長の古屋武範も登壇し、近年伸びる業態の条件として「狭小商圏(近さ)」と「未顧客に向けた意味的価値(居心地や世界観)」を挙げ、さらに業界の弱点は人材採用・育成など“支援活動”が薄いことだと指摘。ピーラのような仕組みがその弱点を補い、業界全体の発展に寄与すると期待を示した。

ヨガ・ピラティスインストラクターの立場から福田真理子氏もコメントし、現場の課題として、体調不良時に代行探しが困難で影響範囲が広いこと、スタジオを掛け持ちしても横のつながりが生まれにくいこと、スキルアップ費用や時間負担が重いことを語り、協会による支援やネットワーク形成における期待、役割が大きいことを語った。

「TSUTAYA Conditioning」は、「エコフィット」「アクトス」も導入へ

TSUTAYA Conditioning の基本施設パッケージ

説明会後半には、カルチュア・エクスぺリエンスの鎌浦氏が「TSUTAYA Conditioning」を紹介。書店に通うように習慣化できる“整える”場として、AIジム、初心者向けピラティス、ブックラウンジ等を組み合わせ、運動だけでなく滞在体験・コミュニティ形成を特徴にあることを説明した。

川越店のジムスペース

2026年3月末で37店舗、首都圏内店舗に見た1店舗当たりの在籍会員数は572人、年齢構成は多い順番に50代26%、40代20%、30代16%、男女比では女性が91%、会員単価の平均は9,150円であった。客層は、「ジムっぽくない」「リラックスできる」「コーヒーを飲みながら過ごせる」などの声があり、平均利用回数は月8.7回、1回あたりの平均滞在時間2.2時間と、滞留時間も長いことを示した。

今後は自社だけでなく、FC展開を積極展開していく。また事業拡大には、各専門機関とのパートナーシップ戦略で、コンディショニング文化を広げる考えだ。

フィットネスクラブ事業に関連すれば、既存ジムの遊休スペースへの導入などで、施設の活性化も図れるとみている。

ピラティススタジオは明るく開放的

実際に、低価格ジム「エコフィット」を運営するエーイーシ株式会社(本社愛知県)、総合フィットネス運営の株式会社アクトス(本社岐阜県)への導入を進めることを発表した。既存フィットネス施設との連携は多様な形で行い、「TSUTAYA Conditioning」の導入のほか、「ピーラ」の連携も行っていくこを進め、施設側、インストラクター側相互にメリットがある結びつきをサポートしていく。

「エコフィット」「アクトス」の具体的な施設導入・連携内容については、5月号以降で徹底取材をしていきたい。

なお、3月4日の発表時には、「TSUTAYA Conditioning」は出店決定分14施設を含め、合計51店舗、2026〜027年度には200店舗体制を目指していく。