台湾最大級のスポーツ・フィットネスBtoB展示会「TaiSPO2026」が、3月25日から28日まで台北南港展示センター第2ホールで開催された。総来場者数3,207名、海外バイヤー320名(うち日本から68名)、出展企業数200社を記録し、TAIPEI CYCLEとの同時開催により会場には世界各国からバイヤーや事業者が集結。AIを活用した測定・分析機器、リカバリーソリューション、シニア向けマシンなど、健康寿命延伸や継続利用を意識した提案が目立った。日本市場でも課題となる“会員定着”“差別化”“高齢化対応”へのヒントが随所に見られたTaiSPO2026。本稿では、会場で注目を集めた7企業・団体の展示内容から、アジア市場の最新トレンドを追う。
個別最適化サービスを実現
AI技術を活用した身体分析ソリューションも、TaiSPO2026を象徴するテーマの1つだった。中でも注目されたのが、姿勢・筋力・バランス・身体構造を総合的に解析するVision AIシステムだ。同システムでは、身体組成だけではなく、姿勢や筋肉バランス、力の発揮状態まで測定可能。利用者ごとの目的に応じて、アンチエイジング、ロンジビティ、パフォーマンス向上など最適な運動提案を行う。
測定から解析、エクササイズ処方までをデジタル化している点も特徴であり、AIによる自動分析を通じて、コーチ依存を軽減しながらパーソナライズサービスを提供できる。
担当者は「全員の目標は違う」と強調。単なる見た目改善だけではなく、学習能力や運動適応力まで考慮したトレーニング提案を行うという。フィットネスクラブにおける“感覚指導”を、データドリブン型へ転換する流れを象徴する展示だった。日本市場でも、継続率向上や成果実感の可視化は重要課題となっている。AI分析による個別最適化は、今後のクラブ運営において欠かせない武器になりそうだ。

リカバリー領域の収益化を提案
欧米市場で拡大している“リカバリーサービス”も、TaiSPO2026では存在感を高めていた。出展企業は、リラックス空間を提供するリカバリーマシンと、水振動を活用したリラクゼーション機器を紹介。アジア市場への本格進出を進めている。
リカバリーチェアでは、温度・香り・映像などを組み合わせた複数プログラムを提供。利用者自身で簡単に操作できるため、スタッフ常駐が不要な点も特徴だ。運動後のリラックス需要に対応しながら、省人化にも貢献する。また、会員利用とは別料金で課金するケースが多く、クラブ側にとって新たな収益源となる可能性も高い。
もう1つの注目は、水を利用した振動型リラクゼーションマシン。水の動きが身体へ自然にフィットし、高いリラックス効果を生み出す。スパ施設を新設するほどのコストをかけず、リカバリーエリアを構築できる点が強みだ。利用データ分析機能も搭載されており、運営改善や顧客分析にも活用可能。日本でも拡大する“ウェルネス型クラブ”の方向性を示す展示となっていた。

女性市場を刺激するウエサカの提案
日本発の老舗メーカー・ウエサカもTaiSPOに出展。台湾代理店との連携を背景に、女性市場やパーソナルジム向けの新提案を打ち出していた。
国際重量挙げ連盟認定メーカーとして知られる同社の強みは、高品質とカスタマイズ性。ロゴやカラー変更への柔軟対応に加え、木目調プラットフォームなどデザイン性を重視した提案が特徴となっている。特に印象的だったのが、女性ユーザーを意識したカラー展開だ。台湾では30代以降の女性によるバーベルトレーニング需要が高く、日本以上にウェイトトレーニング文化が浸透しているという。
代表取締役の上坂忠正氏は、「女性は集中力と継続率が高い」と分析。技術習得型トレーニングであるバーベル種目は、“上達する楽しさ”が継続動機になりやすいと語る。大会参加など新たな目標設定につながることで、長期定着を促進できる可能性も示した。

台湾スポーツ産業を支えるTSGA
台湾スポーツ用品工業同業公会(TSGA)は、TaiSPO全体を支える産業団体として存在感を示す。展示会支援、市場データ共有や産業研究など、台湾スポーツ産業の発展を多角的に支援。
同団体によれば、台湾のフィットネスクラブでは会員継続率向上に向けた取り組みとして、「設備アップデート」と「測定・分析サービス強化」の2軸が重視されているという。特に、フィジカルセラピーや体組成測定を活用し、成果実感を高めるアプローチが拡大。単なる自主トレーニング提供ではなく、“プロによる伴走型サポート”が重要視されている。
運動を通じて「健康的で充実した生活」を発信するライフスタイルが若年層を中心に広がっているという。今後についてTSGAは、AI導入や栄養サポート強化など、クラブサービスの多角化が必要と指摘。競技者向けだった高機能マシンも一般市場へ広がりつつあり、スポーツとウェルネスの境界はさらに曖昧になっていきそうだ。

TaiSPO2026では、AI、リカバリー、シニア対応、女性市場など、日本市場とも共通するテーマが数多く見られた。アジア市場の変化を肌で感じられるTaiSPOは、日本のフィットネス事業者にとって新たなヒントを得る絶好の場となるだろう。2027年開催では、ぜひ現地で次世代トレンドを体感してほしい。