クラブ経営において、会員に「成果」を実感してもらいながら、楽しみ、長く通い続けてもらうことは永遠の課題だ。その解決には、施設・スタッフ・テクノロジーをどう組み合わせるかが重要になる。新たな都市型総合クラブとして誕生したTHE JEXER TAKANAWA。そのこだわりや実践に迫った。
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JR東日本スポーツ株式会社 THE JEXER TAKANAWAマネージャー 松坂俊佑氏(左)アシスタントマネージャー 服部夢蔵氏(右)
日常から非日常へ。街の健康を支える「“Mode Switch Hub”」
「THE JEXER TAKANAWA(以下、ジェクサー高輪)」は、TAKANAWA GATEWAY CITYに誕生した新しい都市型総合フィットネスクラブだ。単に運動するための場所ではなく、心と身体の状態を整え、日常から非日常へと気持ちを切り替える「“Mode Switch Hub”」をコンセプトに掲げている。
その背景にあるのは、従来型のフィットネスクラブとは異なる、都市生活者の新しい健康ニーズへの対応だ。高輪エリアは、仕事や生活の場として多様な人が行き交う一方、忙しい日常を過ごす人も多い。だからこそ、クラブに来た時間そのものが、心身をリセットし、前向きな状態へと切り替える時間になることを目指している。
マネージャーを務める松坂俊佑氏は、「運動するだけではなく、心と身体のモードを切り替えられる場所を目指している」と話す。実際、館内は従来のフィットネスクラブのイメージにとらわれず、上質さや居心地の良さを重視。空間そのものにも余裕を持たせ、施設全体でプレミアムな体験を提供する。
このジェクサー高輪は、TAKANAWA GATEWAY CITYという街づくりの中でも重要な役割を担う。人とテクノロジーが融合する街において、AIを活用したTechnogymのソリューションも取り入れながら、一人ひとりに合った新しいフィットネスライフを提案する。施設の中だけで健康を完結させるのではなく、街の様々な施設やサービスと連携し、街全体で人々の健康を支える――。その壮大な構想の中に、ジェクサー高輪は位置付けられている。
会員の大多数は高輪エリアに居住する人で、女性が比較的多い。一方で、健康維持だけを目的とするのではなく、「しっかり身体を動かしたい」「しっかり汗を流したい」という本格的な運動ニーズも強いという。運動、リラクゼーション、ゴルフ、プールなど、多様な選択肢を1つの施設で提供できることも同施設の大きな特徴だ。
クラブによると、志向に基づく会員の割合は以下のように大別される。
・身体を鍛えるフィットネス志向:30%
・心身のバランスを整える:50%
・スポーツパフォーマンスを高める:5%
・健康寿命を延伸させる:15%

測定から継続までをつなぐ仕組み
同施設の特徴をさらに際立たせているのが、Technogym Ecosystemを活用した顧客体験である。
導入以前、抱えていた課題の1つは、会員一人ひとりの身体状態やトレーニング成果を継続的に把握し、それぞれに適した運動へとつなげていくことだった。マシンの性能が高いだけでは、会員の身体の変化を捉え、次の行動を促し、継続につなげることは難しい。そこで着目したのが、Technogymのソリューションだ。松坂氏が最大の決め手として挙げるのは、「マシン単体の性能だけではなく、測定からトレーニング、そしてその後の継続までをデジタルで一貫してつなげられる」点である。
つまり、同施設が購入したのは単なるトレーニングマシンではない。会員の状態を把握し、その人に合わせた運動を提案し、実践した結果を確認し、さらに次の運動へとつなげる一連の顧客ジャーニーそのものだ。
その中核を担うのが「Technogym Checkup」と「Biocircuit」である。
アセスメントステーションの役割を果たすTechnogym Checkupでは、複数の項目を測定することで身体の状態を可視化。さらに、その結果をもとに一人ひとりの状態や目的に合わせた運動を考えることができる。従来の「測って終わり」ではなく、「測る→運動する→変化を確認する」というサイクルを構築することが、重要なポイントとなっている。
特徴的なのが、実年齢と測定結果の比較から算出される「Wellness Age™」だ。自分の身体状態を数値で確認できるだけでなく、トレーニングを継続することで、その変化を可視化できる。松坂氏自身も体験し、「1歳、2歳でも若返った数字が出るのは、モチベーションになる」と実感している。
会員にとって「自分の身体がどう変わったのか」がわかることは、運動継続の大きな動機になる。経営視点からは顧客満足度の向上だけでなく、成果実感を通じた継続率向上、さらには退会防止にもつながる可能性を持つ。

スタッフの「寄り添う力」を高める
デジタルを活用すると、スタッフとの接点が減る――。そう考える向きもある。しかしジェクサー高輪では、むしろテクノロジーによってスタッフのサポート力を高めている。
アシスタントマネージャーの服部夢蔵氏によれば、Technogym Checkupは単なる測定機器としてではなく、測定結果をスタッフのアドバイスにつなげるために活用している。「測って終わり」ではなく、身体の状態や目的を踏まえて、会員に合わせた提案を行う。

一方Biocircuitは、パーソナライズドフィットネスを実現するために導入された。個人に合わせて負荷や可動域、シート高さを事前設定できるため、初心者でも迷うことなく、短時間で効率的にトレーニングできる。
服部氏は、スタッフのメリットも挙げる。一度動作を説明すれば、次回来館時もスムーズにトレーニングへ入ることができるため、スタッフが適切なサポートを行いやすい。テクノロジーを介してスタッフが会員に寄り添う。この役割分担が、同施設の顧客体験を支えている。
その価値を象徴するのが、会員への声掛けだ。トレーニング中の様子をスタッフが見守り、「頑張っていますね」と声を掛ける。データだけでは生まれない、人と人とのコミュニケーションがそこに加わることで、運動は「やらなければならないもの」から「また来てやりたいもの」へと変わっていく。

「日常のテーマパーク」と語る30年来のJEXERファン
こうした施設の価値を、誰よりも楽しそうに語るのが会員の一人だ。
約30年前からジェクサーを利用し、ジェクサー高輪の利用を始めたのはオープンした今年4月。現在は週4~5回のペースで通う。
利用目的を尋ねると、「生活の一部」「来るとワクワクする」「日常のテーマパーク」と、何度も楽しさを表現する言葉が出てきた。健康維持はもちろん目的の1つだが、それ以上に通うことそのものが、楽しみになっている。
特に気に入っているのがBiocircuitだ。自身の身体に合わせて設定されるため、細かな操作をすることなくトレーニングできる。「ゲームのよう」と表現し、測定やトレーニングの結果を楽しみながら取り組んでいる。高いスコアが出ると、声に出して喜ぶという。
一方で、会員とスタッフとの距離も近い。トレーニングの内容について相談すると、「次はこの負荷にしてみましょう」と具体的なアドバイスを受ける。スタッフの声掛けも、モチベーションにつながっている。
施設への評価も非常に高い。プールを利用できること、マシンがゆったりと配置されていること、近未来的で洗練された空間であることなどを挙げ、「ここじゃないと駄目」とまで話す。
施設での運動が、単なるクラブ内活動ではなく、人生の次の楽しみへとつながっている。その成果は利用者の声からも伝わってくる。

「運動の場」から「街の健康拠点」へ
松坂氏は、TAKANAWA GATEWAY CITYが掲げる「100年先の心豊かな暮らし」の実現に向け、ヘルスケアを重要なテーマの1つとして、施設の中だけでなく街の様々な施設やサービスと連携しながら、人々の健康を支えていきたいと話す。
その中でジェクサー高輪が担うのは「運動」という領域だ。街に住む人、働く人、訪れる人にとって、健康づくりのために欠かせない存在を目指す。
その構想を実現するうえで、Technogymが提供するエコシステムは重要な役割を果たす。Technogym Checkupによって身体を知り、Biocircuitによって自分に合った運動を実践する。そして、その変化を再び可視化し、スタッフとのコミュニケーションを通じて次の行動へつなげる。
ここには、フィットネス事業者が抱える「どうすれば会員に成果を実感してもらえるのか」「どうすれば楽しみながら長く通ってもらえるのか」という普遍的な課題への、1つの答えがある。
重要なのは、自社が実現したい顧客体験を描き、そのためにデータとマシンとスタッフの力をどう組み合わせるか。その設計思想こそが、ジェクサー高輪の実践から学ぶべきポイントだろう。
プレミアムな空間に、先進的なマシンを置くだけでは、プレミアムな顧客体験にはならない。顧客一人ひとりの現在地を知り、最適な運動を提供し、変化を伝え、次の目標へ伴走する。そのジャーニーをデジタルでつなぎながら、最後は「人」の力で背中を押す。
Technogymのソリューションは、自社の顧客体験を見直すための1つの有力な選択肢になるはずだ。