新型コロナウイルス(以下、コロナ)により、常識が変わりつつある。フィットネス業界においても多くの企業がオンラインフィットネスなど新たなサービス構築に舵を切ることとなった。そのようななかでも、以前よりデジタルシフトを強めていた株式会社東急スポーツオアシス(以下、東急スポーツオアシス)では、既存のWEBGYMやオンラインショップ事業などが打撃を受けた施設運営の売り上げを補い、新型コロナウイルス禍(以下、コロナ禍)において厳しい状況であるものの事業構造の変革に取り組んでいる。

粟辻󠄀稔泰氏
株式会社東急スポーツオアシス 代表取締役社長

コロナ禍において既存サービスへの需要が拡大

コロナの感染拡大により、2020年の2~5月、フィットネス業界各社は様々な対応に追われた。感染対策はもちろんのこと、外出を控える方に向けたオンラインフィットネスの提供や、スタジオプログラムを事前予約制にするなど、システムの導入に奔走した企業も多かったことだろう。

東急スポーツオアシスの各施設においても対応すべき点は多々あったものの、WEBGYMや予約システムがすでに導入されていたことで、コロナ禍においても比較的早期に対応することができたという。

特にオンラインショップ事業においては、自宅でのトレーニング需要が高まったことを受け、昨年以上の売り上げを達成している。

コロナ禍で一つひとつのリソースがもつ力を知った粟辻氏は、これらを活用し、よりフィットネスを人々にとって身近なものにしていきたいと語る。

「グループ会社のリソースも活かしながら様々なサービスを開発することで、これまでクラブに興味をもっていなかった方へもリーチしていきたいと思っています。そのためには、もっとエンタテインメント性を高めたコンテンツづくりも必要だと考えています」

同社で現在の職に就く以前は、グループ会社にて商業施設などの開発、運営を行っていた粟辻氏。商業施設では、テナント企業などと協力し、幅広い世代にアプローチできるイベントを数多く実施する。

「3密となるようなことは控えないといけませんが、屋外やオンラインなど適した方法を選べば今後も様々なイベントを企画できるはず」と述べ、前職での経験をフィットネス業界でも活かし、リラクセーションや人々の交流の場としてのフィットネスなど、運動以外の魅力を積極的に発信していく予定だ。

SDGsでさらに価値高まる省エネ対策

これまでのように、人々を魅了する施設アイテムやサービスを用意することに加え、これからのフィットネスクラブ運営に求められるのは、徹底した感染対策だ。定期的な換気が必要とされる一方で冷暖房への影響なども否めず、そのほかの部分で一層の省エネ、省コストに努めていくことが必要だろう。

東急スポーツオアシスでも、東京ガス株式会社(以下、東京ガス)とともにその対応を進めている。

「これまでの総合クラブでは大型のガスボイラーを使っていましたが、上大岡店や相模原店など近年の施設はマルチ温水機を導入し、さらなるエネルギー効率の向上を図っています。省エネを実現することは、SustainableDevelopment Goals(SDGs) への貢献にもつながり、これからの時代、より大きな意味をもってくるはずです」

マルチ温水機は小型の給湯器を連結させた業務用給湯器。コンパクトで設置場所をとらないため小規模施設に適していることはもちろん、台数を調整することで、同社のような総合店にも対応することができる。複数台連結することで、万が一1台が故障しても、安定してお湯を供給し続けられることも特徴だ。

前職においても東京ガスと連携していたという同氏は「施設ごとに合った設備の提案や、『今月は少し使用量が多いようですが大丈夫ですか?』と連絡をくれるなど、きめ細やかな配慮をしていただけることがとても助かっています」と大きな信頼を寄せる。

東急スポーツオアシスでは今後は都市型、郊外型などその地に合ったモデルを展開していくほか、業界のスタンダードになってきたWEBGYMについては、コンテンツの充実に一層力を入れていく。目指すのは「『オアシスだから入会した』といってもらえる施設づくりと環境づくり」(粟辻氏)だ。省エネ運営の実現や、新たな顧客層の開拓に向けた各種プロモーションにも引き続き期待したい。

※トップ画像:東急スポーツオアシス上大岡店のマルチ温水機