女性目線の、きめ細かな配慮による施設づくりに定評のある株式会社DUO代表取締役/一級建築士 村上由希子氏による連載。新型コロナウイルス禍(以下、コロナ禍)により、癒しを求める人が増えている。フィットネスクラブの空間にも居心地の良さが求められる時代になったのではないだろうか。

コロナ禍で在宅勤務や外出の自粛など、自宅で家族と過ごす時間がこれまでよりも多くなったという方は多いと思います。昨年から1年半の短期間で働き方、暮らし方は大きく変化しました。変化にはストレスがつきものです。

だからこそますます社会生活において、「癒し」が必要とされています。

先日、目にした住宅メーカーのアンケートで「コロナ禍で今後の住まいに欲しくなったものは何ですか」というものがありました。回答の中で特徴的だったのが、「遊べる広い庭・屋上・バルコニー」「緑(自然)が感じられる住まい」という項目が上位に位置したことです。都心から郊外へ移り住む人が増えていることは、この現れの1つです。緑や自然を感じることで、人間は自然と「癒し」を感じます。今回は、このグリーンを店舗インテリアに取り入れることでお客さまに「癒し」を提供し、居心地良い空間にするヒントとなればと思います。

グリーンの効果:空気をきれいにしてくれる浄化効果

まずは、インテリアグリーンを取り入れるとどのような効果があるかをお伝えします。

1つ目は、お部屋の空気をきれいにしてくれる浄化効果です。

大きく4つの特徴があります。
1つ目は「光合成による効果」です。
水と二酸化炭素から、光エネルギーの力で炭水化物を合成し酸素を排出する光合成。もちろん、観葉植物が健全に生存・育成するために不可欠な活動です。これにより、観葉植物を設置した場所では二酸化炭素の除去と酸素の供給という二つの効果が期待できます。

換気量を測定する際に計測するのが二酸化炭素の割合であるくらい、二酸化炭素濃度は重要な指標です。

2つ目は、雑菌の繁殖を抑制する「抗菌効果」です。植物に存在するフィトケミカルという物質は、カビの胞子やバクテリアの繁殖を抑制する効果があります。動けない観葉植物にとって重要な防衛機能ですが、同時にお部屋にも抗菌効果の恩恵をもたらしてくれます。

3つ目は、自然な「潤い効果」です。観葉植物はお部屋の空気に水分を供給し、乾燥を抑制します。過剰に加湿しすぎてしまうこと