余暇市場全体は前年比+1%、フィットネス市場は2019年(コロナ前)比83%

2022年10月31日、2021年の余暇の現状と産業・市場の動向をまとめた『レジャー白書2022』が、公益財団法人日本生産性本部より刊行された。2021年の余暇市場は、2020年の55兆2,040億円から55兆7,600億円となり、前年比+1%だった。コロナ前の2019年比では、77.1%の水準だった。コロナ禍で大きく落ち込んだ市場は、多くの分野で復調傾向だが、さらに落ち込む分野もあり、トータルでは若干のプラスに留まった。フィットネス市場は、2020年は3,200億円だったが2021年は4,130億円となり、前年比+29.1%となった。

感染対策は十分

『レジャー白書2022』によると、フィットネスクラブの売り上げは、2020年は3,200億円だったのに対し2021年は4,130億円となり、前年比29.1%増となった。2020年は、2011年から2019年までの8年連続プラス成長と過去最高の市場規模4,900億円から一転し、コロナ禍で大打撃を被った。

2021年は、回復基調に向かい、コロナ前の8割に近い水準まで回復した(グラフ)

グラフ:『レジャー白書2022』よりFitnessBusiness 編集部が作成 

同書によると、約78%の利用者が利用施設の新型コロナウイルス感染予防対策について「十分な対策だと思う」と回答している。フィットネス事業者の感染対策の努力は評価されている(2021年オリコン顧客満足度調査「コロナ禍におけるフィットネスクラブ利用実態レポート」)。

フィットネス市場の変化の要因には、下記が挙げられる。

・業態別内訳

総合業態が大幅に減少し、24時間セルフ業態とパーソナル業態が増加した(「リアルワークアウト」「かたぎり塾」「チキンジム」など)。

・売上構成比

スイミングスクール、オンライン・物販などが占める割合が増加した。オリジナルプロテインは売れ筋商品である。

・雇用とキャリア

パーソナルジムの独立開業、介護予防事業への参入などが多く見られる。

2021年は、正社員、パート、アルバイトの指導員1施設あたりの人数が減少傾向にあった。

そのほか、スイミングスクールで水中プログラムと陸上プログラムを組み合わせてより参加しやすくしたり(JSSスイミングスクール「スーパーキッズコース」など)、「サ活(サウナ活動)」への注目から、コナミスポーツが「自分のペースで無理せずに『ゆるジム通い』」をキャッチコピーとして疲れた日にはサウナでととのえるだけ、などとプロモーション展開したりしている。

未顧客マーケティングを強化しよう

これからは、フィットネスに参加していない(=未顧客である)97%をどのように惹きつけられるかを洞察し、それにフィットするマーケティングミックスを構築する必要があるのではないだろうか。未顧客マーケティングについてはP39でまとめている。今一度、未顧客のアプローチと対応について整理しておこう。

また、フィットネスクラブの顧客満足度向上においてインストラクターが与える影響は大きい。カーブスは、JCSI日本版顧客満足度指数調査において8年連続で第1位となっている。お客さまに愛されているクラブは当然のことながら満足度が高い。フィットネスクラブ運営企業は、特に現場で日々お客さまと接しているインストラクター・トレーナーの指導力やコミュニケーション力について再度見直し、そこを引き上げる必要があるのではないだろうか。