株式会社日新ウエルネス(以下、日新ウエルネス)が手掛ける総合型クラブであるスポーツクラブ エンターテインメントA-1笹塚店(以下、A-1笹塚)の支配人を務めながら、全社のデジタル推進を担当する高橋氏。コロナを端緒にDXの必要性が一気に高まり、様々なツールを導入。その結果、ジム運営の効率化、会員の利便性アップ、セキュリティ強化を実現し、地域ナンバー1の顧客満足度を獲得。具体的には、どのような施策を講じてきたのだろうか。その取り組みに迫る。

  • 株式会社日新ウエルネス
    笹塚店 支配人
    営業統括部デジタル推進・企画
    高橋 圭氏

24時間営業に加え地域最大級の設備を誇る

日新ウエルネスは、A-1ブランドおよびドゥ・スポーツプラザブランド、それからホットヨガのBLEDAブランドといった複数の業態をもち、総合型スポーツクラブおよびコンパクトジムなど合計28店舗を首都圏を中心に展開している。A-1笹塚はそのうち総合型の役割を担っている。京王線の笹塚駅と幡ヶ谷駅の間に位置し、アクセスは良好。駐車場も完備している。

施設については地下1階から3階までで、延床面積は約900坪と広い。トレーニング上級者でも満足するジムエリア、複数のスタジオ、有酸素エリア、さらにはスカッシュコート、クライミングエリア、ゴルフブース、25mプール×3レーンなども備え、フィットネス以外にも複数のスポーツを楽しむことができる。

「A-1笹塚は最初、地下1階のみからスタートしました。そこから地域の方々の需要に応えていくうちに、総合型クラブとして大きくなってきたのです。必要に応じて、A-1笹塚の敷地内にパーソナルトレーニングジムやエステサロンも併設し、相乗効果を生んでいます」と同ジムの支配人である高橋氏は言う。

キッズスクールの需要も高い一方で、整骨院も併設されていることから、40代を中央値として老若男女に親しまれており、まさに地域を代表するフィットネス施設と言えよう。

デジタル化の推進でA-1笹塚はこう変わった

高橋氏はA-1笹塚の支配人と兼務して、全社のデジタル領域を担当。「2022年においても高い顧客満足度を維持し、会員さまに足を運んでもらっているのは、間違いなくDX推進のおかげですね」と同氏は断言する。

コロナの影響で最も対応が急務となったのは、会員さまへ与える「安心感」の醸成。それを、人手を介さなくとも実現できるソリューションがないかと高いアンテナを張っていたなかで出会ったのが、AIカメラソリューションの「GYMDX」だった。「コロナの影響で、密の状態を避けたいけれども、運動はしたいという会員さまのニーズは顕著でした。GYMDXがあれば、マシンエリアごとの混雑状況をリアルタイムで把握することができ、重宝されています」と高橋氏は満足げに話す。

また、AIカメラで検知することで、様々なリスクを通知してくれる機能が、24時間ジムの安全性を高めている。例えば、ジムエリアで動かなくなってしまった人がいた場合、事故の可能性があるため、映像とともに通知が届く。それを確認することで、少人数のスタッフでも速やかに対応可能となった。

また、無人営業時間における会員以外の出入りなども検知。警備会社とも契約しているため、万が一の場合は通報する前に駆けつけてくれる。

「このセキュリティ面について、24時間営業のジムは特に頭を抱えている部分ではないでしょうか。皆さまがマナーを守ってくれるだろうと信じたいところではありますが、無人時間は特に会員さまの気が緩みやすいのが実情です。一部の会員さまのせいで、ほかの会員さまが、それに辟易して退会されてしまったら運営にも支障が出てしまいます」と高橋氏は話し、AIカメラ導入の必要性を説く。

そのほか、会員管理システムの刷新によるスタジオの予約の効率化、会員証カードを廃止してQRコードでの入退館の導入、それを読み取る水素水サーバーの設置など、会員の利便性を高めてきた。アンケートをとっても、会員の満足度が高い理由は、DX関連の取り組みによるところが大きいと数字でも表れている。

GYMDXで見据える新たな戦略

A-1笹塚は、まだβ版であったころからGYMDXを業界に先駆けて導入。1台につき1万円台でカメラを設置できるうえに、場合によっては既存の防犯カメラでも対応可能なため、いずれにしても初期コストがそこまで大きくならないことも、コロナ禍で一歩を踏み出せた要因だろう。

A-1笹塚がGYMDXを導入して以降、この2年間で様々な機能が追加されてきた。例えば、不正入館を検知する、1回の解錠で複数人が同時に施設へ入ってきたときの通知機能もその1つである。

「今後、お客さま一人ひとりの施設利用動線を把握できる機能が追加されると聞いており、大変ありがたいと思っています。それによって、退会しやすい人がどういう行動をとっているのかが可視化されれば、事前にフォローすることで継続率を向上できるため、戦略が立てやすいからです」と期待しながら、高橋氏はアップデートを待つ。