高騰する介護費をどう賄うか?の議論で、忘れられている視点。それは、介護にならならない取り組みにインセンティブが働く仕組みやシステムづくり。

こここそ、私たちフィットネス業界の事業者が、世の中に大きく貢献できるところではないでしょうか。「予防」の重要性を伝えるとともに、そのムーブメントを広げ、具体的な行動をしていきましょう。

膨張する介護費と「予防」の視点の欠如

2000年度に介護保険制度が発足した当時の総費用は3.6兆円。それが、'25年度に14.3兆円と約4倍に増え、'40年度には27.6兆円となる見込みとのこと。

少し前に、日経新聞(朝刊)の「経済教室」では、だから「介護保険制度は公費負担6割に引き上げを」との記事が掲載されていました。

もちろん健康になるための自助努力はしていたものの介護が必要になる人もいて、またそういう人を介護する人も大切なので、そこには一定の税金を投じる必然性があるのですが、こうした議論の際に、健康づくりを義務化せよとは言わないまでも、それをすることが公費の原資となっている税金のムダを減らすことになるんだよ、だから国や自治体は、健康づくりの啓発を!との主張ももっとあっていいと思うのですが、少ないですよね。

フィットネス投資がもたらす社会的リターン

私たち、フィットネス業界に身を置く者たちは、フィットネスの社会的、経済的価値を可視化して、この国に暮らす人たち一人ひとりが健康づくりに取り組むことの恩恵を説くとともに、それを支援するような環境やシステムを整えていきたいですよね。

例えば、週2回・1年間のフィットネス習慣(年間約12万円の投資)により、要介護リスクが30%低減すると仮定すれば、一人あたり年間約200万円とされる介護費用の抑制効果は計算上60万円。投資の5倍のリターンが社会に還元される計算になります。

自治体連携による実証実験も進んでいます。神奈川県の某市では、65歳以上の市民にフィットネス施設利用補助(月額3,000円)を実施。3年間の追跡調査で、参加群は非参加群より要介護認定率が18%低く、市の介護保険給付費も年間1.2億円削減されています。

企業の健康経営との連動も大事でしょう。例えば、従業員のフィットネス習慣化支援に年間一人5万円を投じる企業では、医療費が平均3.8万円削減され、かつ将来の介護離職予備軍も減少したといった報告も。社会保険料負担の軽