企業連携で全国自治体のフレイル・認知症予防事業を促進
秋田県内で整骨院事業や福祉事業、スポーツトレーナー事業を手掛けている株式会社e-MOTIONs(以下、e-MOTIONs)は、全国で福祉事業を展開している株式会社ミレニア、吉本興業株式会社の2社と協業し、「『お笑い』×『運動』を通じた高齢者の健康づくりプロジェクト(以下、プロジェクト)」を推進してきた。2023年5月11日、e-MOTIONsは、秋田県令和5年度ヘルスケア・医療機器等開発支援事業(以下、開発支援事業)において、実証プロジェクトに採択されたことを発表した。
世界⼀の⾼齢地域、秋田県
秋田県は、WHO加盟国の中で世界一の高齢地域である。そのため、秋⽥県では、能動的かつ画期的な健康づくり・フレイル予防モデルを創出し、全国へ発信・普及する意義が非常に高いと考えられてきた。
開発支援事業では、秋田県においてヘルスケア分野の先駆的な県内企業と県外企業との協業に向けた連携体制を構築し、先進的なヘルスケアビジネスの創出を推進してきた。創出された製品・サービスは、県内自治体に対して積極的に周知され、自治体の保健・予防事業の推進に必要な具体パッケージ等として提供される。秋田県内の市民の健康意識の向上や健康活動の定着促進などにつなげられる仕組みとなっている。
健康無関心層をいかに取り込めるか
健康づくりやフレイル予防、認知症予防において「運動」は最もエビデンスの示されている介入法の1つだ。しかし、地域における予防人口に対する運動プログラムへの参加率は、5%足らずであると言われている。医療費や介護費など社会保障費の増加が続く日本において、いわゆる「健康無関⼼層・無意欲層の取り込み」は、喫緊の課題であると言えよう。
同プロジェクトでは、e-MOTIONsのプロのトレーナーが行うエビデンスに基づく運動指導ノウハウと、ミレニアの効果的な自治体事業運営ノウハウを基に、吉本興業所属の秋田県「住みます芸人」によるエンターテインメント要素をかけ合わせることで、健康無関⼼層・無意欲層が『自ら参加したくなる、楽しい運動教室フレイル予防プログラム』の構築を目指し、「笑い」と「運動」の相互作用がもたらす⾝体機能、認知機能の維持・向上効果の検証をエビデンスに基づいて行う。新しい健康づくり・介護予防モデルの開発を目指し、地域の保健・予防事業の啓発力の向上と市民の参加率・継続率の増加を目指した効果検証が実施される。
期間は令和5年7〜9月、評価指標は表のとおり。
「笑い」の要素が健康や認知機能にもたらすプラスの効果は医学的にも示されている。同効果検証、未病・予防領域における社会実装実績では、国内トップレベルのミレニアが持つ認知機能の定量評価技術『あたまの健康チェック®』を活用し「⾝体機能の維持」のみならず、社会課題である認知症予防を目指した「認知機能の維持」に関する効果検証も行われる。
さらに、全国展開を目指している。
ヘルスケアビジネスの注目度高まる
023年6月29日、株式会社日本総合研究所は、経済産業省「令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(ヘルスケアビジネス創出推進等事業)地域ヘルスケアビジネス水平展開等推進事業」において、同プロジェクトを採択候補事業として選定した。
地域におけるヘルスケアビジネスへの活性化は、今後も拡がっていくことだろう。