調査会社の富士キメラ総研がまとめた「業種別ITソリューション市場2019年版」によれば、企業におけるIT化の流れはクラウド型へ移行し、企業ごとに個別カスタマイズをしたり、スクラッチ開発を行ったりする形態は下火になると予測されている。その理由や背景について、クラウド型会員管理・予約・決済システム「hacomono」を提供する株式会社まちいろの蓮田健一氏に話を訊いた。

【お話を訊いた方】
株式会社まちいろ 代表取締役 蓮田健一氏

GAFAの登場により所有から体験の時代へ

GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)の登場により、ビジネスも消費者の価値観も180度変化した。データは全てクラウドにあり、消費者ニーズや好みに応じてクラウドソフトウェアが進化していく。それは同時に、所有から体験の時代に突入したという点でもある。モノもサービスもクラウドにつながっているため、購入した時点からサービスの価値が高まる社会になるのだ。例えば音声翻訳機で有名な「POCKETALK(ポケトーク)」は、機械はハードウェアだが、翻訳エンジンがクラウドにあるため、翻訳精度は日々向上する。従来型のものであれば、購入時点で価値が決まるが、社会の変化や学習によって価値が高まるわかりやすい例だ。何よりも消費者側の利便性が高い。

 

「未来は不確実」だから変化を前提としたITインフラを

OSもソフトウェアも開発ライブラリもすべて時代とともに進化する。変化に備えるには、常にアップデートし続けることが欠かせない。アップデートしないことはセキュリティリスクとなる。しかし、従来型の個別カスタマイズ方式は、長い時間設計をして開発・テスト・納品するという建築的プロセスになっている。納品がゴールなので、その時点で価値が決まる。その後の新機能やセキュリティアップデートにも個別開発が必要となるため、時代の変化に付いていきづらくなること、開発や運用コストが足を引っ張ることなどが課題となる。

 

政府や自治体もクラウドへ移行

クラウド型ITインフラの導入は日本でもようやく一般的になりつつある。’20年2月14日の政府の会見では「政府共通プラットフォーム」にAmazonWebService(AWS)を採用する方針を明らかにした。その理由として、つくり込みを最小限にし、運用コストを抑え、拡張性・自動化の恩恵を受けること、そして「セキュリティ対策などを含め(AWSが)優れていると判断した」としている。

 

デジタルネイティブ社会に向けたタッチレス型の体験デザイン

スマートフォンは地域や年代を超え、なかでも若い世代はインターネットやスマートフォンを物心ついた頃から利用している。hacomonoではフィットネスクラブにおいても、デジタルネイティブ世代を前提としたフローのクラウドシステムを提供する。

  1. 初回見学や体験を予約制とする。データはすでにクラブ側にあるため、二重入力の手間はお客さまもスタッフも不要となり、決済も完了している。
  2. スタジオも予約制にする。それにより、自宅や職場から空き状況を確認、予約ができる。クラブ側としてはスタジオプログラムごと、インストラクターごとの会員属性分析により、サービスレベルの向上につなげられる。
  3. 入会・決済・チェックインといった事務手続きをキャッシュレス・タッチレスにもっていく。結果として、正確なデータが蓄積され、スタッフ事務作業時間を削減するほか、会員さまの継続期間・購買状況に応じたコミュニケーションを可能とする。

社会は常に変化する。スマートフォンも常にアップデートされ、そこに向けた優れた操作性のUIも欠かせない。人材が不足するなか、時代の変化に強く、リアルタイムでのデータ経営がしやすいクラウドを活用して、会員さまとスタッフの体験価値を向上させることはフィットネスクラブにとって急務といえるだろう。