世界的に見て、回復が遅れている日本のフィットネス市場。どうすれば、今後、成長し、生活者に必要とされる業態・サービスがつくれるのか? 手をこまねいていてはいけない。成長する事業者に学び、未来をつくる一歩を着実に踏み出したい。

既存事業者は成長する事業者に学べ

欧米を中心に、フィットネスは、世界的な広がりを見せている。各国のフィットネス事業は、すでにコロナの影響は全くない。むしろ、コロナ禍が人々に、普段から運動によって免疫力を維持しておくことの大切さを認識させることにつながり、フィットネスクラブへの参加率が高まっている。とりわけアメリカは成長著しい。参加率は、2023年末に23.7%を記録。利用率も前年対比9.7%増の成長ぶりだ。おそらく、2025年末には、25%を超えるだろう。つまり、国民の1/4がどこかのフィットネス施設で、習慣的に運動していることになる。

日本は、どうか。着実に増えてきてはいるものの、その伸びは小さい。そればかりではなく、既存の大手事業者と新興の中小事業者の売り上げが、構造的に逆転してしまっている。例えば、カーブスホールディングスは、2023年8月期にすでにコロナ前のチェーン総売上高を超え、2024年8月期には売上高800億円を突破し、過去最高の実績をあげている。会員数も80万名を突破し、2025年8月期には86 ~ 87万名となる予想を発表している。店舗数も、2025年2月末で1,983店舗と、2,000店舗に迫る勢いであり、今後も、国内外の既存店の会員数をさらに伸ばしつつ、メンズカーブスやさらなる新ブランドの出店も拡大し、右肩上がりの成長を実現しようとしている。このほか、Fast Fitness JapanやRIZAPグループ、nobitel、LAVA International、フィットイージー、LIFE CREATEなども、成長著しい。

2023年3月期まで赤字を続け、2024年3月期にも赤字、もしくは低い収益しかあげられていない大半の既存事業者と比べると、キャッシュフローの創出力や外部環境の変化に対応していくダイナミックケイパビリティの違いは明らかだ。

グラフは、主要トップ事業者の売上高の推移を示したものだが、アフターコロナで、角度高く右肩上がりを示しているのは、ルネサンス、RIZAPグループ、カーブスホールディングスの3社だ。既存の大手事業者の中