只隈伸也氏は、大東文化大学でスポーツ・健康科学部教授として教鞭をとる傍ら、複数の学会や自治体のスポーツ推進関連の委員会委員を務めている。埼玉県上尾市もその1つであったが、上尾市教育委員会の玉造勇輝氏らとの偶然の出会いにより、中学校部活動の地域展開に携わることに。官学連携で実践した上尾市の部活動地域展開モデルを連載番外編で紹介する。

上尾市教育委員会 学校教育部指導課・上尾市教育センター 副主幹兼指導主査 玉造勇輝氏(左)

部活動を学校から地域に広げ教員の負担減を図る

只隈氏が関わり運営が開始された「AGEO地域クラブ」は、国が示す「部活動の地域展開」を、上尾市教育委員会と中心となり成し遂げたものだ。

地域クラブ導入の端緒となる部活動の変遷について、過去50年以上にわたり紆余曲折があったが、只隈氏は、「学校教育の一環ではあるが授業ではない、にもかかわらず教員が課外活動である部活動に多くの時間を取られる」と課題を話す。国が掲げる「働き方改革(2018年に関連法案成立)」の視点からも、教員が膨大な「残業」をこなしてようやく成り立っていた部活動のあり方を変えることは喫緊の課題だった。2020年「部活動改革」として「部活動の地域移行(現呼称:部活動の地域展開)」が公表、さらに2022年には具体モデルが提示された。

上尾市でも例にもれず部活動の問題に直面、国の意向を受けて対策を迫られていた。上尾市教育委員会の玉造氏は「教員の働き方の問題に加えて、少子化による影響も大きい。現在、市内には中学校11校(生徒数約5,500人)、小学校22校(児童数約1万人)があるが生徒数は減少傾向にある。生徒が減ってクラス数が減ると配置できる教員数が減り、部活動の顧問ができる教員も減るので、廃部にせざるを得ない部も出てくる」と現状を語る。そこで上尾市は改革に向け、早速、希望する部活動について、市内の全小・中学校の生徒にアンケートを実施、「中学生で75種目、小学生で73種目が挙げられたが、子どもたちのニーズが、ここまで多様化していることに驚いた」(玉造氏)という。

2022年、前述した国の部活動改革の方針を受け、今後の動き方について玉造氏が同市スポーツ振興課に相談したところ只隈氏を紹介され、同市における部活動の地域移行の取り組みが進むことになった。令和4年度同市教育委員会内に調整