全国のフィットネスクラブやスタジオで導入が進むエイベックス・ダンスマスター。

その運営の柱となる管理システム「comix plus(コミックスプラス)」は、受講生や導入店舗はもちろん、講師に多くの価値をもたらしている。

ダンスに特化したこの仕組みは現場をどう変えるのか。そのシステムの特徴と福島県須賀川市を拠点に展開するDance Studio Hugoole(ダンススタジオ・ハグール)の活用事例を取材した。

  • 有限会社スペースワン
    Dance studio Hugoole
    遠藤しのぶ氏
     
  • エイベックス・エンタテインメント株式会社
    事業開発本部 事業開発グループ
    運営推進ユニットマネージャー
    野口美由紀氏
  • エイベックス・ダンスマスター
    東北エリア担当
    及川那菜氏
     

ーHugooleの概要とダンスマスター導入の背景から教えてください。

遠藤:須賀川と白河で2教室を展開するダンス専門スタジオです。受講生は高校生までの子どもたちが中心で、4歳から社会人まで幅広い層が在籍。「楽しく育み、夢をつなげてハグする」というコンセプトに、ダンスの技術だけでなく、子どもたちの心や自信を育てることを大切にしています。

もともと子ども向けのスポーツ教室を運営していたのですが、ダンス指導については自前のノウハウが十分ではなく、学校での必修化もあるなかで体制を整えたいと考えていました。実は隣の市にダンスマスターを導入しているスタジオがあり、そこでの様子を見て以前から関心を持っていたんです。そうした中で「エイベックスが手がけているのであれば指導の質も間違いないだろう」と、本格的に導入を検討し、2020年にスタートしました。現在は2拠点でプログラムを展開しています。

ーHugooleも活用する「comix plus」は、どんなシステムですか?

野口:エイベックス・ダンスマスターでは、導入店舗の運営をサポートする受講生管理システム「comix plus」にも力を入れています。

ダンスマスターのスクール運用の視点から、当社が独自開発したシステムです。受講生の登録からスケジュール管理、打刻や代講の確認、お知らせやフィードバックの配信、体験レッスンの申し込み受付まで、スクール運営に必要な機能を1つに集約しています。

自社開発のシステムであるため、スクール運営の実態に合わせて機能そのものを変えていけます。直近では今年6月に、半年に1回実施している「スキルチェック」をアプリ上で記録・管理できる機能を追加しました。汎用のパッケージではなく、ダンススクール専用に設計しているからこそできることだと考えています。なかでも、他にはない大きな特徴が2つあります。

1つ目が打刻の仕組みです。導入店舗にiPadを1台提供し、受講生がご自身のQRコードを読み込んで出欠を記録します。これにより出欠管理の手間が大幅に軽減され、受講生のシステム登録率がほぼ100%となるため、お知らせ配信や会員管理がシステム上で確実に完結するようになりました。

受講生自らiPad で打刻を行う仕組み


2つ目が、受講生・講師向けの「エイベックス・ダンスマスターアプリ」です。検定用のアプリ、レッスン連絡用のサービスと、用途ごとにツールが分かれるケースは少なくありませんが、1つのアプリに統合しています。レッスン動画の閲覧、カリキュラムに沿ったお手本動画での予習・復習、スキルチェック、講師からのコメント確認など、受講生の成長に関わる機能がこのアプリで完結します。そして、大きなメリットが動画共有の仕組みです。

ー受講生にとって、動画共有機能の最大のメリットは?

野口:リアルのレッスンと自宅での学習が、アプリを通じて自然につながる点です。レッスン動画を講師が撮影して共有してくれるので、受講生は自宅でその動画を振り返ることができます。

さらにエイベックス独自の教材「ダンスキドリル」と連動したお手本動画も搭載されているので、お手本と自分を見比べながら予習して、次のレッスンに臨めます。講師が「今日はこのステップを練習したよ」「来週はここに進むよ」とコメントを添えてくれるので、受講生はその流れに沿って自宅でも取り組める。このリアルレッスンとアプリの融合による学びのサイクルが、受講生の定着を後押ししています。

こうした動画共有を安心して行える仕組みも、大きなポイントです。ダンスは複数のお子さんが一緒に踊るため、動画には他の受講生も映りますが、アプリ内の限定共有なので肖像の心配がありません。ダンススクールに特化したシステムだから実現できた機能です。

講師にとっても、アプリから簡単な操作で動画やコメントを届けられ、指導以外の事務的な負担が軽減されます。その分、レッスンに集中できる環境が整っています。受講生・店舗・講師、それぞれにとって使いやすいシステムであることに重きをおいています。

動画をもとにレッスンの予習・復習が可能


ー施設運営におけるメリットは?

遠藤:生徒の情報を把握しやすくなったことは大きなメリットです。当スタジオでは2拠点をまたいで受講する生徒も多く、どうしても移籍やクラス追加の作業が発生し、対応が必要になっていました。以前は及川さんにお願いしていましたが、今は管理画面から簡単にできるようになりました。保護者の方からのご依頼にすぐ対応できるようになり、大変助かっています。出欠もQRコードの打刻で把握できますから、来ていない生徒へのフォローにもすぐ動けるようになりました。

運営に割ける時間が増えた分、レッスン前後の保護者の方とのコミュニケーションに力を注げるようになったことも、大きな変化です。

ーお子さんや保護者の反応は?

遠藤:子どもたちは、QRコードでの打刻がまず楽しいようです。「自分でやりたい」という子が本当に多くて、iPadの前に並んで順番待ちをしているくらいです。毎週通ううちにiPadの操作まで覚えてしまう子もいて、スタジオに来ること自体が1つの動機づけとして機能している手応えがあります。

保護者の方にとっては、アプリでレッスンの動画や先生のコメントを確認できることの意味がとても大きいと思います。アプリに入っているお手本動画で自宅でも予習・復習ができますし、レッスンで使っている曲を共有してくれる先生もいるので、練習がグッとしやすくなっています。お手本動画の使い方を問い合わせてくださる保護者の方もいらっしゃるほどで、一度使い始めると皆さん積極的です。

その日どんなレッスンを受けて、先生からどんなアドバイスをもらったのかが見えることは、保護者の方にとって大きな安心材料になります。お子さんの成長を実感できる手応えがあるからこそ、通わせ続けたいという気持ちにつながっている。長く通っていただける理由の1つになっていると感じます。

野口:動画共有も欠かさず行い、成長のサイクルをしっかり体現されている。こうした日々の積み重ねが受講生の継続率にも反映されていると思います。

ー今後の機能拡充の方向性は?

野口:引き続き機能の拡充を進めています。6月に追加したスキルチェックの記録・管理機能によって、動画もフィードバックもアプリ上でいつでも見返せるようになりました。受講生は半年前の自分と今の自分を比べることができますし、講師にとっても自身の指導を振り返る機会になります。次回12月のスキルチェックに向けて、より多くの店舗でご活用いただけるよう環境を整えていきたいです。

また、レッスンで扱ったステップをシステムに反映し、クラス全体の進捗を追える仕組みもありますので、こうした機能の浸透にも力を入れていきたいと考えています。

スキルチェックや検定の成長もアプリで確認
 

ー現場での活用を広げるために、どんな取り組みをされていますか?

及川:積極的に活用してくださっているHugooleさんのような店舗の好事例を、他店舗にもきちんと届けていくことが大切だと考えます。良いシステムは、現場で使いこなされてこそ、価値が生まれるとも感じています。具体的な取り組みを共有しながら、システム自体もより使いやすくなるよう日々改良を重ねていきたいです。

受講生にも、店舗にも、講師にとっても、いいシステムにしていきたいという気持ちで取り組んでいますので、これからも現場の声に耳を傾けながら、導入店舗にとって本当に役立つ仕組みをつくっていくことが目標です。

comix plus による受講生の成長サイクル図
 

ー今後の展望をお聞かせください。

遠藤:アプリからダンス検定を受けられるようになったことで、お手本動画を見ながら検定に挑戦する生徒が明らかに増えてきました。ここにきて、受検率が上がっている実感もあります。

最近は「ダンスの先生になりたい」と将来の夢を語ってくれる生徒もいます。ダンスマスターで積み重ねた経験が、受講生の将来の選択肢を広げるきっかけになってきている、と実感しています。アプリからはオーディション情報なども届くので、こうしたチャレンジの機会をもっと広げたいです。

エイベックス・ダンスマスターには、他のスタジオにはないシステムやサービスが揃っていて、使わない手はないと思っています。子どもたちの将来につながる場をつくっていきたいです。