世界のフィットネス業界を束ねるHealth & Fitness Association(HFA)のグレタ・ワグナー氏(President & CEO, Interim)とショーン・タン氏(アジア太平洋地域担当ディレクター)、そしてAnytime Fitness、Orangetheory Fitness、The Bar Methodなどのブランドを世界展開するPurpose Brandsのサンダー・ヴァン・デン・ボーン氏(Chief International Officer)が、SPORTEC2026の会場で本誌のインタビューに応じた。

パンデミック後の世界的な健康意識の高まり、パーソナライゼーションとAI、国際化とM&A—世界の潮流を踏まえたうえで、3人は口を揃えて「日本市場にはまだ大きな伸びしろがある」と語る。

その成長を掴めるのは、コンビニエンスの先にある"次の価値"を設計できる事業者だ。日本の経営者がいま何をやめ、何を変え、何を再構築すべきか。示唆に富む90分に及んだインタビューの要旨をお伝えしたい。

フィットネスは「運動」から「ホリスティックな健康」へ
—勝ち組・負け組を分けるのは"統合力"

世界の業界を形作る最大のトレンドとして、タン氏がまず挙げたのはコロナ禍を契機とした健康観の転換だ。

「人々は仕事に追われるなかで、突然、自らの健康と向き合わざるを得なくなった。いまや会話の中心は、構造化されたエクササイズだけでなく、メンタルヘルス、栄養、ライフスタイル、そしてロンジェビティ(健康長寿)にまで広がっている」(タン氏)。

フィットネスクラブが提供すべき価値の定義そのものが拡張しているのだ。

ワグナー氏は、成功する事業者とそうでない事業者を分ける要素を「会員一人ひとりのニーズに寄り添い、フィットネスへのアプローチを変容させられるか」と見る。

そして、ヴァン・デン・ボーン氏は、その先にある経営課題を端的に言い当てた。「リカバリーも栄養もコーチングも、個別に導入することは誰にでもできる。カギは、それらを統合し、会員にとって1つのスムースで快適なジャーニーができるかどうかだ」。

Purpose Brands社が投資を進めるのが「スマート・コーチング・エコシステム」と呼ぶプラットフォームだ。

会員がマラソンやHYROX