指定管理者制度・PFI応援事業における企画書・事業計画書の作成などを支援する山﨑隆司氏の新連載。公共施設運営などへの参入を検討している企業向けに事例をお届けする。今号は前号の続編。SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)を設立し、SAGAサンライズパークの選定を獲得した後とは。

佐賀銀行・佐賀新聞が構成企業に加入

SAGAアリーナの落札後、SAGAサンライズパークの運営会社として「(株)SAGAサンシャインフォレスト」を設立することになるが、対抗会社側についていた佐賀新聞のスタンスがどうなるかが議論となった。MIZの溝上会長は、「戦いが終わったらノーサイド。佐賀県を分断する事業にしてはならない」と宣言し、事前の想定通り、佐賀銀行と佐賀新聞に5%ずつの出資を要請。これにより、佐賀県内企業が51%の株式保有率を維持できた。これも地元財界の雄、溝上会長の手腕によるところが大きい。正に、地元企業と組成する意味はここにある。

首都圏以外は、地元企業、地元工務店、地元維持管理企業を巻き込むことが、今後も勝因になりうることは述べる迄もない。

首都圏の企業が、いきなり地方の選定に応募してもなかなか勝利できない事実が確実に存在する。これを、仮に「天上に住むとされる神仏が地上に来臨することを意味する=降臨感」とするなら、降臨感が表面化したら最初から負けということになる。

そこで、地元維持管理会社や財界人にアプローチし、ベストな組成を作り上げる。まずはここからスタートすべきだとクラブサクセスジャパン(以下、CSJ)は考える。だからこそ、応募の2年程前から案件を選別し、地元を含めた組成に取り組む。その好例がSAGAサンライズパークだ。

コロナ禍で現職が防衛

一方、今年の指定管理者について更新された選定結果を見てみると、横浜市以外は、現職がほぼ勝利し、新たな指定管理者の選定には至らなかった。まさに2021年はコロナ禍による強制休館など管理者に運営上の苦難を強いている時期に当たり、業績の悪化が必ずしも当事者責任にあるとはいえず、多くの自治体が休業補償として指定管理料の補