リトモスマスタートレーナーとして活躍する竹ヶ原佳苗さんは、インターナショナルプレゼンターとして、世界15ヶ国以上のコンベンションでのレッスン経験を持ち、世界最先端のグループフィットネスの魅力を長きにわたって日本に伝えてきている。その竹ヶ原さんにとってのライブレッスンの魅力は、「何が起こるか分からない」こと。だからこそ生まれるドラマがあり、記憶に残る感動がある。

長年語り継がれるレッスンとは

竹ヶ原さんは、フィットネスクラブの社員インストラクターとしてデビューし、6年間働いたのち、ワーキングホリデーを利用してカナダに留学した。それを機に、世界を舞台にライブレッスンを提供してきている。

インターナショナルプレゼンターとして初の経験は、2013年のIDEAコンベンション。当時世界のトッププレゼンターであるマーカス・アーウィンに自身のレッスンDVDを送り、フィードバックを求めたことをきっかけに、世界デビューの機会を得た。以来、15ヶ国以上のコンベンションでのレッスンを経験してきているが、最も記憶に残っているのが、10年以上前のアルゼンチンでのレッスンだと振り返る。

「ステップクラスのプレゼン中、始まって15分くらいが経ったときに、突然会場の電源が落ちたんです。ライトも消えて、マイクも音楽も入らなくなって。『どうしよう!』と一瞬戸惑いましたが、ちょうどその2ヶ月前に、上海のコンベンションで中国のインストラクターから同じようなことがあった話を訊いたところでした。それはフランス人インストラクターのクラスで、突然会場の電源が落ちたときに何をしたかというと、クラスの半分の人に、クラップ(手拍子)をさせて、もう半分の人が、そのリズムに合わせて踊る。それを交互に繰り返してレッスンを続けたと。瞬時にその話が頭に浮かんで、私も同様にクラスの半分の人にクラップしてもらい、もう半分の人が踊るようにキューイングして、それを繰り返して10分くらいすると電源が戻り、クラスを無事終えることができました。そのレッスンが大絶賛されて、今でもアルゼンチンに行くと、話題になります」

リアルでは何が起こるかわからないからこそ、そこで共有した感動が深く心に残る。コンテストやコンベンションに多くの人が集まるのも、その感動やドラマに惹きつけられるからだ。

ライブの魅力は「一体感」「高揚感」と「ダイレクトなフィードバック」

竹ヶ原さんは、コロナ禍を経てフィットネスクラブが営業を再開して以来、レッスンもワークショップも、すべてリアルで提供している。クラスの参加者も、「やっぱりリアルに勝るものはない」と、コロナ禍以前よりも、参加率が高くなっているという。

竹ヶ原さんがライブレッスンの魅力として挙げるのが、「一体感」と「高揚感」。そして、お客さまにとっては、「インストラクターに見てもらえる」こと。

そうしたライブレッスンの価値を高めるうえで大切にしていることは、お客さまがレッスンに求めているものを理解して、それに応えるレッスンが構成できる指導スキルと、ポジティブワード。特にスタジオの後ろにいる参加者を惹きつけることだと話す。

「特にダンスフィットネスの場合、難しいコリオを楽しみに来る方もいれば、難しすぎないコリオで、みんなができることが楽しいと感じる方もいます。コリオの構成も、難しいコリオの後に、ホッとできるコリオを入れることや、的確なキューイングで『難しいコリオができるようになる達成感』を提供できることも大切です」

ダンススキルと指導スキルの幅を広げる

竹ヶ原さんがマスタートレーナーを務めるリトモスでは、指導を続けることで、ダンススキルと指導スキルの幅が広げられるという。

「リトモスは、いろいろなジャンルのダンスでコリオが構成されるので、ダンススキルが磨かれます。リズムの取り方や、動きの幅が広がるとともに、曲調に合わせた振付を練習することで、音への理解も高まります」

また、3ヶ月に1回アップデート研修があり、マスターインストラクターによるレッスンを初見として体験できることで、初めて見るコリオでも動けるようになるキューイングが学べることになる。受講者と同じ視点で体験することで、自身のキューイングを見直すこともでき、レッスンに活かすことで指導スキルが高められていく。

竹ヶ原さんは、今後グループレッスンの価値を高めるうえで、インストラクター向けのワークショップにも挑戦してほしいと話す。

「インストラクター向けにワークショップをすることで、クラスの組み立てや指導スキルについての理解を深めることができます。そして、インストラクター同士、お互いに学び合い、切磋琢磨することで、指導力を高めることができます。グループフィットネスの価値を共有して、フィットネスを始める人、続けられる人を増やしていきましょう」