コロナ対策としての海外からの入国制限も大幅に撤廃、国内の観光需要を喚起する施策の効果もあり、人流は以前にも増して活発化している。渋谷や新宿、横浜などの居酒屋を訪れると、店内は立りっすい錐の余地もないほど混雑。当然、マスクなしに、大声で笑い、語り合いながら、酒を酌み交わし、季節の料理に、それぞれが舌鼓を打っている。最も感染が広がりやすいとして、政府から休業や営業自粛の要請をされていた飲食店が、今はもうこの状態だ。街を歩いている人々のなかにも、マスクから鼻を出したり、マスクをしていなかったりという人をずいぶんと見かけるようになった。私自身も、飲食店で食事をするときや外を走るときには、マスクなどはつけない。
コロナの患者も急速に減ってきている。完全な終息はないと考えるが、多少の変動はあれ、ここからは低位安定化する状態が続くだろう。日本では、これまで季節性のインフルエンザに毎年、約1,000万人が罹患し、約3,000人(直接的および間接的に生じた死亡を推計する超過死亡概念では約1万人)が亡くなっていた。新型コロナは、2年8ヶ月の累計で陽性者が約2,000万人、死者が約4万人(2022年9月15日時点)だ。死者は新型コロナのほうが多いが、これは厚生労働省が、新型コロナの陽性者であれば、厳密な死因を問わずすべて新型コロナ死としてカウントしているから、従来と同じ基準で比較することはできない。
オミクロン株に変異して以降、新型コロナウイルスは弱毒化したとされ、特定疾患をもつ高齢者を中心にワクチン接種が進んでいることもあり、インフルエンザ並みの感染症と判断されるのであれば、社会・経済活動を基本的にコロナ禍前の状態に戻していってよいのではないか。コロナと共生し、文字通り新常態を生きるのだ。もしかすると、それによって感染者はやや増えるかもしれない。集団感染化を促すことになるが、日本の医療資源は本来、年間1,000万人のインフルエンザ患者を診療できる体制が整っており、新型コロナへの対応も充分可能だ。何より、それをきっかけに社会・経済が今以上に回りだすという恩恵が受けられる。
もちろん政府が、マスクの有無でどれほど感染するか、あるいは習慣的な運動などの予防的取り組みをしている人がどれほど感染しにくいのか、感染したとしても重症化しないかということを調査して、広報する必要があると思うが、残念ながら今の