行動経済学の基本を理解するとともに、フィットネスクラブ経営に役立てる方法について紹介する本連載。第1回では、人間の不合理行動(人は常に合理的な行動選択ができるわけではない)について説明したが、今回は、なぜフィットネスクラブで運動を続けることが難しいのか?について、行動経済学の観点から2回に分けて説明する。

■主体的に決めているようで、実は何も考えていない?

人は、生活をしている中で、たくさんの選択や決定をしている。食事や仕事、フィットネスクラブで運動をするということも、すべて生活の中での決定により行われている。ほとんどの人は「自分で主体的に行動している」と思っているが、実は何も考えずに、反射的に行動を選択していることの方が多いのである。

人の思考には、ヒューリスティックシステマティックの2種類がある。上述した、「何も考えずに反射的に行動を選択している」のは、ヒューリスティックが意思決定に使われている状態である。ものすごく簡単に言うとヒューリスティックは無意識下で直感的で、システマティックは意識下で熟考的という言い方となる。

この2つのパターンを使い分けて日々過ごしているわけだが、その割合は、ヒューリスティックが多い。例えば、お昼休みの1時間に、定食屋に入ったとしよう。だいたいの人が昼食を決めるという判断に要する時間は、長くてもせいぜい1~2分程度である。そこで、値段と量、使われている食材、レビューサイトの評価などをすべて比較し、熟考していたら、注文が決まったころにはお昼休憩は終わってしまったということになる。事前に何かしらの情報を持って入っている場合は別としても、ある程度は直感で選んでいるのである。

■ヒューリスティックはミスが起こりやすい

では、フィットネスクラブに入会しようと考えたとき、人はどちらの意思決定プロセスを使うのだろうか。結論を言えば、システマティックを使って入会する人もいれば、ヒューリスティックを使って入会する人もいる。

システマティックを使う人たちは、家から近いか? A店とB店では、値段はどち