株式会社アルペン(以下、アルペン)は、ご存じの通りスポーツ用品店大手である。その同社が手掛けるフィットネス事業の中核に位置するのがアルペンクイックフィットネス(以下、クイックフィットネス)だが、現在直営とフランチャイズ合わせ30店舗展開している。仲三河氏が1人かつ手作業で行っていた販促関連業務を、2022年12月にラクスル エンタープライズのシステムへ移行。導入からわずか数ヶ月だが、早くも効果を発揮している。
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株式会社アルペンフィットネス事業部阪本亮輔氏
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株式会社アルペンフィットネス事業部仲三河三佳氏
運動ができる場所を提供し、スポーツをもっと身近に
クイックフィットネスの歴史は2006年にまで遡る。会社としてのパーパスである「スポーツをもっと身近に」を実現するためには、スポーツ用品の販売に加えて、実際に身体を動かせる環境を生み出すことも重要なのではないか、という考えからアルペンはフィットネス事業をスタートした。
現在は、男女ともに使えるアルペンフィットネスクラブと、女性専用の30分サーキットトレーニングを手掛けるクイックフィットネスの2業態を展開している。
「女性専用かつ短時間で効率よく運動ができる場所は当時は多くなかったです。従来のフィットネスクラブでは、誰かに見られるのが恥ずかしい、通いづらいというニーズもとても多かったので、取り組むことになりました」と阪本氏は説明する。
同ジムの特徴は大きく2つ。
1つ目は、自社で製造されているコンパクトな油圧式マシンだ。小柄な日本人女性にもフィットするサイズで、正しいフォームでトレーニングが可能。クイックフィットネスのブランドカラーであるオレンジを基調としているが、他社への販売もAQ Beauetというブランド名で展開している。
2つ目は、ゲルマニウム温浴という人気のオプションがあること。いわゆる「温活」ができるゲルマニウム温浴器をクイックフィットネス全店に設置している。有機ゲルマニウムを溶かした42~43℃の温水で手足を20分間温めると皮膚呼吸によって体内にゲルマニウムが取り入れられ、様々な効果が期待できる。
「とにかく汗をかきますが、それも含めて心地よく、トレーニング終わりの『ご褒美タイム』として会員さまから人気を集めています」と阪本氏は言う。
実際、サーキットトレーニングは行わず、ゲルマニウム温浴だけを求めて会員になる女性もいるという。
「やっとコロナからの回復の兆しも見えてきましたし、より地域に根差したクラブにしていくべく取り組んでいきたいです」と阪本氏は意気込む。
多店舗展開が進むにつれ販促の業務負担が徐々に増加
現在、直営とフランチャイズ合わせて30店舗を展開しているクイックフィットネス。地域の方々に店舗の存在そのものや魅力を伝えていくためには販促活動が欠かせないが、本部でチラシの発注やデザインなどを取りまとめている仲三河氏の業務が、店舗数の増加に比例して膨れ上がっていった。
「30店舗に30通りの対応をしていく必要がありました。デザインやサイズなど、各店舗の要望を聞いて発注をして届けるまでのやり取りが、とても煩雑でした。紙およびデータで納品するのですが、その手法も各店舗によってバラバラでした」と仲三河氏は当時を振り返り、さらにこう続ける。
「人力でカバーしていた部分を、なんとかシステムに移行できないかと考えていたときに、たまたま別件で訪れたSPORTEC2022東京でラクスル エンタープライズのチラシを受け取りました。そこに書かれている内容は、まさに私の『こうなってくれたらいいな』が詰まっていたので、非常に興味を持ったのです」
ラクスル エンタープライズ導入後
チラシが届くまでの時間が短縮
それから約4ヶ月後の12月にラクスル エンタープライズをクイックフィットネス全店で導入した。
「今までとオペレーションが大きく変わり、本部としてはもちろん、店舗としてもチラシの発注が非常に楽になりました。
ラクスル エンタープライズは、企業向けに販促物の管理機能を提供するプラットフォームです。これを使えばチラシのデザインを直感的な操作で行えて、発注がオンラインで完結し、店舗に直接納品されるため、本部を介さなくてもよくなった点が最大の変化です」と満足げに阪本氏は話す。
ネットショップのように各店が注文を自由にできるようになり、作業そのものが減ったことに加え、到着までのリードタイムが大幅に短縮された。
「今までは、各店舗に本部から『発注予定はありますか?』と聞いて回っていました。なぜなら、まとめて印刷を注文した方が安いからです。何部以上の注文がないと、コストが高くなるという基準もあったりして、今すぐに小ロットのチラシが欲しいというニーズに応えられないときもありました」と仲三河氏。
キャンペーンであれば、やはりタイミングが重要となるなかで、リードタイムが短い方が小回りが利いて施策が奏功しやすい。だからこそ、この部分の効率化は経営に直結すると言っても過言ではない。
フランチャイズ本部も加盟店も便利でお得になるわけ
ラクスルは小ロット印刷に強みがあり、価格を抑えられる。また、納品までが最短1営業日と早い。本部も加盟店もまず嬉しいところだろう。ただ、これだけではない。
「デザインについてですが、ひな形を本棚のようなプラットフォーム上に置いておくことができます。
例えば店名や屋号だけ変えたいときは、パーツを配置するだけで完了しますし、ちょっとしたアレンジなら各店舗で入れることもできます。逆に、弊社のブランディングとして変えて欲しくないデザインは、Excelで言うところの『シートの保護』のようなことを必須パーツに設定できるので、安心です。
また、昔は各店舗がillustratorのソフトなどを持っていないと編集すら叶わなかったのですが、今となってはそんな時代があったなんて信じられないです」と仲三河氏は笑顔で話す。
実は、これだけの機能があっても全店導入になるか、直営店のみでの導入になるか頭を悩ませたのが、印刷単価のバリエーションを設けられるか否かだ。フランチャイズ加盟店と直営店をそれぞれ管理する必要があったが、ラクスル エンタープライズの導入によって一括管理が可能となった。
「それを知った瞬間、すぐに全店導入に向けて進み出したんです」と仲三河氏は強調する。フランチャイズを展開している会社にとって、耳よりな情報ではないだろうか。
コロナが明けた回復期こそ 販促効率化の絶好機
「このFitnessBusiness誌が発売される5月にはコロナも第5類に分類されて、さらに挽回できるチャンスが来ると思います。そのタイミングで、地域の女性に的確に発信していくには、webマーケティングと同じくらいポスティングは大切になってくるので、積極的に取り組んでいきたいと思っています。そして、『スポーツをもっと身近に』というパーパスに則って行動していきたいですね」と阪本氏は熱を込めて話す。
「まだまだ使い切れていない機能もたくさんあるので、まずはそちらの活用を進めていければと思います。そして、今後は店舗への納品で終わっていたところから、ポスティングまでラクスルさんが引き受けてくださる準備を進めていると聞きました。それが実現したら、いよいよ本部の業務量は従来比で半分以下に収まるので、非常に楽しみです」と目を輝かせる仲三河氏。
そうなれば、より多くの時間をチラシの分析に充てられ、より効果を高められるだろう。
2023年夏、それが実現しようとしている。