ユーザーの満足度を向上させ、自クラブの価値を高めていく

人生100年時代が到来している。そんななか、シニアの認知症やフレイルへの取り組みは、緊急課題の1つであるが、有効な対策を打ち出せていないのが現状である。ケガや病気による入院や通院をきっかけに身体が弱り、認知機能に問題が発生したり、フレイルへと発展したりすることが多くみられる。深刻な状態になる前の対策としてフィットネスは有効であるが、社会問題になりつつあるこの問題に対して、フィットネス事業者はどのようなソリューションを提供していくべきだろうか。

  • 株式会社アライアンス
    代表取締役 荒川 毅氏

ヘルスケアはもっと身近なものへ

「予防・未病に寄り添ったAIoTフィットネスで、日本中を元気に」を企業理念に、様々なソリューションを展開している株式会社アライアンス(以下、同社)。医療に寄り添う健康のデータステーションを目指す同社で、代表取締役を務める荒川 毅氏は、次のように話す。
「フィットネスクラブや介護・リハビリの施設はもちろん、さらに身近な場所である、オフィス、レジデンシャルタワーや自治体等への、データ取得可能なフィットネス機器の導入が急務です。それぞれが自分の健康をデータで管理できる状態になれば、ヘルスケアがもっと身近なものになり、健康への意識も高まると考えています。その意識が全国に広まっていくことで、予防・未病対策として社会的にも有効です」

健康意識の高まりやニーズの多様化もあり、様々な業態の出店が相次ぐフィットネス業界であるが、事業者が抱えている経営課題に関しても同社ソリューションは有効だと話す。

「サービスの質の向上とともに、スタッフの手間を削減しなければいけません。また、新規顧客の獲得のために、魅力ある価値を提供していくことが重要です。運動データの可視化により、スタッフの工数削減と魅力ある価値の提供、どちらも達成することができます」と荒川氏は話す。

事業者とユーザー双方にメリットがある、様々な同社のサービスの魅力に迫っていこう。

スタッフの手間を削減しユーザーの満足度を向上させる

ゲーム的な要素からユーザーのモチベーションを高める「milon YOU」

IoTフィットネスマシン「milon(ミロン)」は、同社が提供するソリューションの代表格でもあり、同社開発アプリを通して様々なヘルスケアデータや外部健康ツールとの連携が可能である。個人の身体を定量的に表した「健康データ」と「運動データ」は、ユザーの健康増進に貢献し、医療との連携も着実に進んでいる。

2023年に上陸した「milon YOU(ミロンユー)」により、milonの価値はさらに向上した。ゲーム的な要素が増え、ユーザーのモチベーションを高めつつ、フィットネスレベルや運動能力の評価をしてくれる。360度カメラによるボディスキャンで、多角的に運動や身体情報の計測が可能。結果をもとにユーザーの体長に合わせて最適なトレーニングが設計され、milonマシンは自動で設定される。

荒川氏は「安ければ良いわけではなく、意味ある価値を売っていくことが重要。その対価としてお金を払ってくれるユーザーが増えることが、ビジネスにとって望ましい。milonはその武器の1つになります」と話す。

milonを導入することにより、スタッフはアテンドの手間を削減でき、他のサービスに注力することが可能となる。またユーザーは、効果の高い最適化されたトレーニングを楽しみながら実践でき、利用満足度が向上。それが継続利用につながる。双方にもたらすメリットは、何よりも施設に多大な成果をもたらしてくれる。

全身運動ができる筋力持久力サーキット
「milon Q」
ケーブルプルのトレーニングにより筋肉を刺激する「milon X」

各種機器との連携で精度の高い管理を

運動・栄養、生活習慣・保健指導に活用できるすべてのデータは、同社開発のアプリ「MEon(ミーオン)」でつなげられる。

筋肉や体水分、体脂肪といった詳細な「身体データ」をMEonと連携させる際、最適なパートナーとなるのが「ACCUNIQ(アキュニク)」の体組成計である。豊富な測定結果は、生活習慣病やメタボリックシンドローム、フレイルなどの予防や改善に向けた運動・栄養、生活習慣・保健指導にも活用でき、milonとの相性も抜群だ。

運動については、milonのトレーニングデータの連携はもちろん、その他のトレーニング状況も入力可能で、消費エネルギーなどの分析や測定結果をユーザーは日々の生活に活用できる。

さらに、約10万食が登録されている食品データベースから選択した毎日の食事メニューを登録することで、栄養素グラフの確認ができ、アプリからの食事アドバイスを受けることも可能だ。ウェアラブル端末と連携すると、日常生活における消費エネルギーも併せて管理できる。トレーニングを可視化し、食事登録やエネルギーの把握、摂取と消費のエネルギー差を理解できるこのアプリは、ユーザーのモチベーションを維持し、成果に直結するといえるだろう。

音波の刺激で適切な全身運動を

音波振動により身体の内側から全身運動できる「SONIX」

老若男女問わず、ラクラクで安全に全身運動ができるSONIX(ソニックス)の特徴と魅力を荒川氏は話す。

「身体を揺らすことが大事と理解していましたが、自身の目の治療の際、音波が身体の深部まで届くことを知りました。音波振動を用いて、身体の内側から全身運動ができるマシンを探し、巡り会えたのがSONIXです。音波振動運動は大きい筋肉から運動しにくい小さい筋肉まで刺激し、細胞レベルでほぐしてくれます。音波振動運動を従来のウェイトトレーニングと並行することで、筋肉の活動レベルを高め、トレーニング期間を短縮できる。また、運動中に引き起こる怪我を防げることもわかりました」

SONIXはフィットネスクラブだけでなく、医療施設や介護・予防施設などにも導入されている。様々なユーザーのエンゲージメントを高めるだけでなく、空きスペースの有効活用アイテムとしても重宝されている。

多種多様なソリューションを提供

認知機能から反射・反応を向上させる
「REAXION」
身体的、認知的、精神的能力を向上できる
「ExerCube」

「REAXION(リアクション)」は、視覚機能と身体動作の連動で、認知機能から反射・反応を向上させることができるスポーツパフォーマンス向上に最適な日本初のトレーニングギア。

転倒防止や身体能力向上といったプログラムを備えたREAXIONシニアもあり、フィットネスクラブに通われている幅広い層に活用できるギアとなる。身体的、認知的、精神的能力を効率的に向上させるためのトレーニングとして注目したいのが、エンタテインメント性あふれる「ExerCube(エクサキューブ)」。

患者、理学療法士、運動科学者、ゲームデザイナーによるプロジェクトで開発され、脚や膝の怪我からのスポーツ活動への復帰を主目的としているが、ドイツやスイスでは、保険会社がExerCubeの利用費を負担してくれているという。ゴルフレンジといった空きスペースに有効活用ができるのも魅力の1つである。

同社では、最適なメソッドを遺伝子でも教えてくれる。スポーツや肥満、特定の病気などの専用検査キットを用いて、一人ひとりに合わせたアプローチから、より効率的に効果を最大化したトレーニングをサポートしてくれる。

会員の満足度を高め 
自らの価値も継続して高めていく

フィットネスクラブの今後について荒川氏は「新規店舗の出店やリニューアルが厳しいなか、既存のスペースを有効活用し、効果的なレイアウトを組む必要があります。そこにコンディショニングエリアを設置する、会員さまの長期継続を促す仕組みづくりとしてリハビリやリトリート機能を追加、空きスペースを用いてイベントを開催する。そういったところから、会員さまとのコミュニケーションを深め、さらに満足度を高めていくことが重要。そしてクラブは、自らの価値を向上させ続けていくことが、とても大切です」と話す。

フィットネス事業者にとって、ターゲットや施設の現状を見直し、同社のようなソリューションの導入を検討しすることが、今後の経営の鍵となろう。