医療とフィットネスの連携が注目される一方で、多くの事業者が直面するのは「利用者に成果を実感してもらい、長く運動を継続してもらうにはどうすればよいか」という課題だ。HARIMA MEDICAL FITNESSは、Technogymのマシン、評価ツール、デジタルCRMを一体化したEcosystemを活用し、理学療法士や管理栄養士、医療機関とのシームレスな連携によって、リハビリから健康増進までを支える仕組みを構築している。その実践を取材した。

  • 医療法人社団仙齢会
    HARIMA MEDICAL FITNESS
    マネージャー 野口直樹氏(左) 武内耕太氏(右)

医療と運動をつなぐ地域の健康拠点


HARIMA MEDICAL FITNESSは、兵庫県加古郡播磨町にある医療法人社団仙齢会が運営するメディカルフィットネス施設である。2025年5月の開設以来、「病院でのリハビリ終了後も、安心して運動を継続できる場所をつくりたい」という想いを軸に、医療と運動をつなぐ役割を担ってきた。

施設には理学療法士や管理栄養士が常駐し、一人ひとりの身体状況や生活背景に合わせた運動指導を提供している。病気やケガを経験した人だけでなく、運動初心者や健康づくりを目的とする地域住民まで幅広い層が利用しているのも特徴だ。

運営当初、同施設でマネージャーを務める野口直樹氏が最も危惧していたのは、メディカルフィットネス業界の収益性だった。

「継続できる施設とするには運動だけでは難しい」。その課題に対し、隣接する診療所で自由診療や衝撃波治療、水素吸入なども提供し、身体の外側と内側の双方から健康を支える体制を整備した。

施設全体のデザインにも徹底的にこだわり、高級感と機能性を兼ね備えた空間を実現。一方で、「敷居が高そうで入りにくい」という新たな課題も認識しており、利用者とのコミュニケーションや丁寧なサポートによって、その心理的ハードルを下げている姿勢も印象的だった。


マシン・データ・人がつながる運営

施設のソリューションにTechnogymを選択した理由について、野口氏の答えは明快だった。

「最初から他社は考えていませんでした」。7~8年前、施設構想が一度頓挫した時期からTechnogymと相談を重ね、今回あらためて施設開設が決まった際も真っ先に連絡したという。

オリンピックの選手村や世界のトップクラブで採用されている実績への信頼、洗練されたデザイン、そして何より、Biostrengthを中心としたデジタルソリューションが決め手となった。

HARIMA MEDICAL FITNESSでは、Biostrengthをサーキット形式ではなくスタンドアロンで運用している。

施設規模や利用者層を踏まえた判断だが、その背景には「利用者一人ひとりに最適なプログラムを提供したい」という考えがある。スタッフが負荷設定やポジションを事前に調整し、利用者はログインするだけで自分専用のトレーニングを開始できる。ピン調整や重量設定に戸惑うことなく、安全かつスムーズに運動へ集中できる環境が整えられている。

さらに施設では、アセスメントステーションTechnogym Checkupによる初回評価を起点に、3ヶ月ごとの定期評価を実施。その結果を基にプログラムを見直し、Technogym Appを通じて施設内だけでなく自宅で取り組める運動も提供している。

Technogym Checkupで算出される心身の健康年齢指標「Wellness Age™」は利用者の大きなモチベーションとなっており、「実年齢より低くなると喜ばれ、高ければ次は頑張ろうという目標になる」と野口氏は話す。

施設・アプリ・自宅をシームレスにつなぐ仕組みが、継続率向上につながっている。


データと専門職が支える個別最適化

同施設で理学療法士の武内耕太氏も、Technogym Ecosystemの価値を「見える化」にあると語る。

My wellnessでは、利用者ごとの運動履歴や負荷量、休憩時間まで詳細に確認でき、そのデータを基に運動プログラムを柔軟に修正・提案できる。

施設では大半の利用者がTechnogym Appを活用しており、運動履歴だけでなくTechnogym Checkupの測定結果も自身で確認できるため、自分の変化を実感しやすい。

また、Technogym Checkupでは、筋力やバランス、関節可動域、マインドなど多面的な評価を実施する。

武内氏は「まず現在地を知り、その3ヶ月後に結果が改善していることを確認できる。この積み重ねが『もっと頑張ろう』という意欲につながります」と嬉しそうに話す。

Biostrengthでは最大筋力や可動域も把握でき、AIが提示する負荷設定をベースにしながら、理学療法士が利用者ごとに最適化する。

AIと専門職、それぞれの強みを生かした役割分担が、安心感と成果の両立を実現しているといえる

利用者が証明する継続と成果の価値

その成果は利用者の声からも伝わってくる。

90歳を目前に控える会員は、当初マシンを見て「プロ野球選手が使うもの」と感じ、自分には縁がないと思っていた。利用して間もなく、運動後の筋肉痛による退会を考えたものの、野口氏から「プログラムを見直すので、もう一度来てください」と声を掛けられたことで再挑戦。

現在では杖や歩行補助具なしで施設へ通い、自宅で一人暮らしを続けられるまでに身体機能が改善した。「寝たきりにならず、自分のことを自分でできる。それが一番嬉しいです」と笑顔で話す姿が印象的だった。

スタッフの丁寧な対応や会員同士の交流も、継続を支える大きな要因になっている。

一方、運動経験がほとんどなかった会員は、「YouTubeで見れるトレーニングの情報が自分に合っているか、わからなかった。理学療法士に自分専用の運動を教えてほしかった」と入会理由を語る。

現在は有酸素運動、サスペンション、Biostrengthを組み合わせたプログラムに取り組み、「人生で一番健康な状態」と胸を張る。

体重は過去最低となり、姿勢改善によって身長も伸び、仕事の疲労感や肩こりも解消。さらに3ヶ月ごとのTechnogym Checkup評価では、筋力や可動域、バランス能力の変化が数値として示され、「次はもっと良くなりたい」と前向きな目標が生まれるという。

「結果を見るのが楽しみになりました」という言葉は、データが継続意欲を育てていることを物語っていた。

医療連携の未来を支えるTechnogym Ecosystem

HARIMA MEDICAL FITNESSが目指すのは、治療後の受け皿にとどまらず、地域の健康寿命を延ばす拠点となることである。

現在、病院から紹介される利用者は全体の1割強にとどまるが、逆に施設から病院へ紹介するケースも増えており、医療とフィットネスの双方向連携は着実に広がりつつある。

その中核にあるのが、Technogym Ecosystemだ。評価、運動処方、実践、データ管理、継続支援までを1つの流れとしてつなぎ、専門職がそのデータを活用して利用者に寄り添う。

単なるマシン導入ではなく、「成果が見え、続けられる仕組み」をどう構築するか──その問いに対する1つの完成度の高い答えが、HARIMA MEDICAL FITNESSにはあった。

利用者の定着率向上や顧客満足、医療連携による新たな価値創出を目指す事業者にとって、大いに参考となる事例と言えるだろう。

テクノジム ジャパン株式会社
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