フィットネスビジネス編集部の調べでは、2020年のフィットネス業界全体の市場規模は、深刻な新コ禍の影響を受けて、前年比およそ35%減の3,200億円になるものと予想されている。最終損益も、およそピーク期の売上高の1割に相当する赤字決算となった企業が多い。主要な各社の2021年3月期の決算概要もほぼ同様の状態であり、すべての企業が減収減益となった。安倍元首相らの「スポーツジム(はクラスター源)」発言の悪影響が生活者の脳裏に残っていていまだにフィットネスクラブを危険視している生活者が多いことから、ワクチン接種の遅れも重なり、業績の完全な回復には2~3年ほどかかるだろう。各社は、すでにビジョンとシナリオを策定して取り組みを始めていようが、これまでのビジネスモデルから転換することも含め、大きな変革が求められよう。

ルネサンス―キャッシュを確保したうえで、既存店の収支構造改革を推進、さらに成長分野へリソースを投入

売上高前年比▲33%、経常利益▲49億円

株式会社ルネサンス(以下、ルネサンス)の’21年3月期決算(連結)における売上高は、302.09億円(前期比▲32.9%)、営業利益は▲46.02億円(-)、経常利益▲49.02億円(-)、純利益▲87.05億円(-)と、減収減益となった。新コ禍による休業や入会減、退会増が影響した。

部門別売上高では、フィットネス部門が前年比▲42.3%の136.11億円と大きく落ち込んだ。スイミングスクールは同▲17.6%の69.03億円、テニススクールは同▲23.7%の30.96億円と、フィットネス部門と比べると、低い落ち込み幅で済んだ。緊急事態宣言下でも自治体の要請により開業していた「元氣ジム」などの売上高を含むその他売上高は、前年比3.7%増と、細分化された売上項目のなかで唯一の前年比プラスとなった。

部門別会員数は、フィットネス部門は前年比▲24.7%の184,672名、スクール部門は同▲8.6%の145,989名となった。全体では、同▲18.3%だった。また、フィットネス会員に占める50歳以上の割合は、漸増傾向が続き、56.9%となっている。一方、スクール会員は20歳以下の会員構成比は、緩やかに若年化している傾向にあり77.5%となっている。

フィットネス、スクールの各部門別入会者の推移は、図表1の通りである。フィットネス会員の入会者数は、