新卒でリクルートに就職し自動車領域を担当した後、経営企画・人事の責任者として様々な業界を渡り歩いてきた伊田氏。2019年11月、WAmazing株式会社(以下、WAmazing)に入社。
訪日旅行者向けのOTA事業を拡大しようとしていたところ、コロナ禍を迎える。しかし、入国規制緩和を待つことなく、新規事業により過去最高の売上・利益を実現した。様々な環境に置かれても結果を出す伊田氏が語る、リーダーシップとは。

―これまでのキャリアで、逆境だったことはありますか?

WAmazingでCOOに着任して3ヶ月ほどでコロナ禍に突入したことです。

主に台湾や香港、中国からくる訪日旅行者に向けて、無料のSIMカードを提供する専用マシーンを主要な国際線が乗り入れる空港に設置し、ウェブサービスやアプリで、宿泊施設の予約やアクティビティの予約、交通チケットの販売などを提供し「日本を楽しみ尽くす」ための観光プラットフォーム事業を立ち上げ、2017年9月に約10億円、’20年11月に約8億円と資金調達にも成功し、さらに事業拡大しようとしていたところでした。

コロナ禍により売り上げの98%がなくなってしまい、このままでは会社のキャッシュが底をつく可能性があったため、どのように乗り越えるかが大きな課題となりました。

―どのように乗り越えてきたのでしょうか?

シンプルに、コストを減らすことと、キャッシュを増やすことの二点だと認識し、それぞれにおけるアクションプランを考え、経営会議でほかの役員とも議論し実行してきました。

コストを減らす部分は、支出の8割以上が人件費のため、そこに着手しなければ大きく削減するのが難しい状況でした。もともと訪日ビジネスを基軸としているため、従業員の4割はネイティブスタッフです。彼らの力なしで事業を成り立たせるのは難しいと考え、解雇はしないということを最初に決めました。

そこで、従業員に対し、休業や出向の協力を求めました。休業時には、副業を可能としたり、国内のスタートアップなど、コロナ禍でニーズが高まったEC領域等に一時的に出向を依頼したりしました。

人件費以外のコスト削減については、これがなければ会社が維持できないというもの以外はすべて削減しました。例えば、当社では120席ほどのオフィスを借りていましたが、解約して完全リモートワークに移行しました。また、これらをお願いする立場