フィットネス業界未経験で始めたブティックスタジオで、半年以上の継続率98%という数字を出すまでに成功させた株式会社Scoop代表取締役板倉陽一氏。現在は小規模施設のコンサルティング活動も行う同氏に、自店での経験を通して学んだ運営における数々のポイントを紹介いただく。

1.リサーチ

これから6回に分けて、私たちが経営するスタジオ「おゆみ野スクエア」のオープン前から現在の取り組みなどをもとに、スモールスタジオやマイクロジムのマーケティングについてお伝えしていきたいと思います。第1回目は「リサーチ」「テーマとコンセプト」「ビジネスモデル」についてご紹介します。

フィットネスに限らず、どんなビジネスにおいてもリサーチは非常に重要なタスクですが、私たちが最初に行ったリサーチは、大きく分けて次の2つでした。

(1)エリア調査

大型の総合スポーツクラブの場合、商圏の人口や世帯数などの統計情報も出店時には必要かと思いますが、スモールスタジオやマイクロジムの場合、このような数値はほとんど意味がありません。なぜなら、そこまで大量の集客が必要なビジネスモデルではないからです。

もちろん、町(街)として機能するレベルでの人口があることは大前提ですが、そのエリアの中心的な年代が把握でき、その年代に向けたサービスであれば問題ありません。それよりも、スモールスタジオやマイクロジムのエリア調査で重要視すべきは、そこに住む人のライフスタイルや生活水準です。提供するサービスとその価格帯が、利用者の価値観と一致する必要があるのです。

まだ小さな子どものいる30代が多く住むエリアでは、超高級フレンチレストランではなくファミリーレストランのほうが需要は高くなりますが、銀座や六本木など、都内の一等地ではその逆になるでしょう。フィットネスでも同様です。エリア調査におけるもっとも重要なポイントは、価値観のすり合わせなのです。

(2)競合調査

いわゆるライバル調査です。先ほどのエリア調査で「このエリアに出店したい」と思うような地域が見つかったとしましょう。しかし、あなたがそのように感じたということは、すでにほかにも同じように感じた方がいるはずです。そこで大した売りもなく、同じようなコンテンツや価格で勝負しても苦戦するだけですから、差別化が必要となるのです。

「どういったところで差別化が図れるか?」。つまりは、強みやUnique Sel