近年、AI搭載のマシンを導入して出店するフィットネスクラブが相次いでいる。

そのようななか、フィットネスクラブの中に、AIサーキット専用ジムを開設し、退会者0を誇るジムがある。ベイシアスポーツクラブ伊勢崎(以下、BSC)だ。BSCは、全国初のオーロラジムと、AIサーキット専用ジムを備える。AIサーキットエリアでは、テクノジム製のBiocircuitを導入、AIサーキット会員のみが利用できる。退会者0の秘訣は、このAIサーキットと、AIコーチの存在にある。

カジュアルなフィットネスを叶えるAIサーキット

ベイシアスポーツクラブ伊勢崎(以下、BSC)は、2021年11月29日にリニューアルオープンした。

BSCの1階はフロント、2階はAIサーキット会員専用エリア、3階には週115本のレッスンを提供するスタジオと、テクノジムのマシンが約50機、計100台導入されたジムエリアがあり、内装には、オーロラがあしらわれる。

会員種別は正会員とAIサーキット会員に大別され、会員の動線は完全に隔てられている。AIサーキット会員は、2階にあるAIサーキットエリアの利用限定の会員で、専用の階段から2階へ向かう。

なぜ、フィットネスクラブの中に専用ジムを開設したのだろうか。その背景には、初めてジムに通う方や運動をやめてしまった方、運動が苦手な方に対して、カジュアルなフィットネスを提供したいというBSCの想いがある。その想いに応えたのがテクノジムのBiocircuitだ。

「最新のテクノロジーを駆使してフィットネスの新たな提供価値をつくり出したかった」と菊地氏は言う。そして、それが会員さまのニーズにマッチしている。「リニューアルし、『1人で黙々と運動したい』『一般的なマシンでのシート調整やウェイトの設定などがストレス』『時短したい』という方が入会しています」

実際、AIサーキット会員は、ジムデビュー層が大半を占め、仕事帰りにスーツのまま運動できることから幅広い年齢層が利用している。

AIトップコーチの田部井 結愛氏は、「忙しい方やサラリーマンの方の運動習慣づくりができている」と自信をもつ。AIコーチの大石 羽衣氏も、「セットアップし、フォームの指導後に会員さまが1人で安心・安全にトレーニングできている」とBiocircuitに満足している。

AIコーチの活躍により退会者が0に

驚くべきは定着率だ。AIサーキット会員は、リニューアルしてから、退会者がいない。この定着率の背景には、AIコーチの存在がある。

AIコーチとは、BSCがトレーナーの本来の役割を見直し、現場でしっくりきやすいよう名付けたもので、トレーナーの役割はAIに任せつつ、会員さまの目標達成に必要なコーチングを行い、徹底的にサポートする。コーチングには、精神的なフォローが含まれる。「AIを導入しているジムの多くは、人とAIの役割を分けることで、人件費がコントロールしやすくなるケースが多いようですが、BSCでは、AIコーチが毎回必ず会員さまにアプローチするので、運動が続きやすいのです」(菊地氏)

また、BSCでは、無料体験会が定期的に行われている。まずお客さまの素要望を引き出し、それに合った種別を提案する。AIサーキット会員に入会を促すセールスはしない。「スタッフは質問力に長け、高い人間性がお客さまとの信頼関係を生んでいる」と、菊地氏は言う。

入会した会員からは、「マシンを使っての運動はこれまで億劫でしたが、1回20分、週3回Biocircuitを使うことで、これまでヨガで無理をしていたポーズができるようになり、効果を実感している」「以前は、ちょっとした動作で筋肉痛になっていたが、仕事をしても疲れにくい体になった。ダイエットに成功したので、アスリートモードを使ってハンマー投げを復活したい」など、前向きな声が続出している。

菊地氏は今、成功要因を探っている。AIコーチの尽力はもちろんだが、常駐しているわけではないからだ。「クラブの成長期では、人(ソフト面)が機能しなければAIがあっても無意味です。土台に人があって、その上にAIがあると考えています」(菊地氏)

団結力で会員数を伸ばす

BSCは、現場と経営層が一体感をもっている。「経営理念やビジョンを経営層から発信しても、単なる標語になってしまうため、現場のスタッフが自分たちで模索しています。現場と経営層が対話することで世界観を共有し、『ビジョン』という言葉の意味や前提から合わせています。現場主導のため、年齢や経験に関係なく、本質を捉え、主体的に動くことができます」(菊地氏)

それにより、現場を起点として課題発見できるので、売り手視点になることがない。菊地氏は、「現場がやりたいことを体現できれば会員数も増える」と語る。

この団結力をもたらすのは、圧倒的な当事者意識だ。

「主体性がある人を採用し、考え方を伸ばします。ミスしてもミスだと思わせず、お互いを否定せず、マイナスなことは言いません。固定概念に縛られず、建設的な議論ができています。競合他社をいくら分析しても課題は自社にあるため、結局、自分たちはどうありたいかを突き詰めています」(菊地氏)

BSC に来るすべての人のエンゲージを高める

今後は、AIサーキットエリアを活用し、レッスン化を目論む。また、スタッフがBSCで働く価値を高め、団結力を強化し、提供価値の向上を目指す。

菊地氏は、「会員さまが運動を継続できるよう、来やすいフィットネスクラブであることを徹底したい」と未来像を描く。

また、テクノジムに対して、「期待を超え続けている。BSCの成長は、テクノジムの成長と共にあると言っても過言ではない」という。

オーロラの内装にAIコーチ、カジュアルに運動効果をプラスするBiocircuit。尖ったコンセプトで勝負をかけるBSCは、断固たる決意を見せる。