会社の望む働き方ではなく、自ら働き方をコントロールできる技術や能力をもった人物の育成に力を入れる遠藤一佳氏による新連載。

現在のトレーナーが抱える課題を指摘し、それを解決する策の1つとして、自分のジムをもつことを提案する。遠藤氏自身も今年より新たな挑戦を始めるようだ。

株式会社「個」のサポーターズクラブ 代表取締役FBL大学学長

こんにちは。遠藤です。2020年の連載テーマは「トレーナーが自分のジムをもつための5ステップ」です。本連載を通じて、多くのトレーナーたちが「自分のジムをもつこと」を具体的に目指してほしいと思っています。

なお、“トレーナー”といっても解釈は様々です。例えば、アスリートを指導しているトレーナーもいれば、ボディメイクや痛みの改善などを指導しているパーソナルトレーナーもいます。またはフィットネスクラブで働いているトレーナーもいます。これらすべてに同じ能力が求められてはいないし、実際に違います。日本とアメリカでは定義も異なります。そのため、一括りにすることには無理がありますが、本連載ではフィットネスクラブなどで働いている人までをトレーナーとし、そのなかで「自分のジムをもちたい」と考えている人を対象にメッセージを送ります。

今回は5ステップの前に「なぜ、トレーナーが自分のジムをもつべきか」を3つの理由から論じます。

理由1.組織のなかでくすぶっているトレーナーが多い

1つ目の理由は「組織のなかでくすぶっているトレーナーが多い」ということです。先ほどアスリート系トレーナー、パーソナルトレーナー、フィットネスクラブのトレーナーに3分類しました。

図を見ていただきたいのですが、このなかで困っている人が一番多いゾーンはどこでしょうか。まぎれもなく一般の方です。日本の高血圧患者は推定4,300万人(基準値の問題もありますが)、腰痛症が約2,800万人、糖尿病の通院患者数は約329万人、心疾患(高血圧症を除く)の総患者数は約173万人。その大半は一般の方です。では、それを救うのは誰か? 予防に対応するのは誰か? フィットネスクラブで働いているトレーナーではないでしょうか。

そうであるのに、この人たちの多くはフィットネス