現在順調に運営をしている企業であっても、ここまでくる道のりでは様々なことがあっただろう。どのような苦労や失敗を乗り越え、またどこに成功要因を見つけたのか。当業界のリーダーらから、それぞれが学んだことについて披露していただく本連載。第 38 回目は、株式会社かたぎり塾の片桐祥氏にお話を訊いた。

株式会社かたぎり塾は2022年3月 25日現在でパーソナルジム「かたぎり塾」を60店舗出店している。’18年 11月に創業して以来、破竹の勢いで出店を加速させている。代表取締役の片桐氏は、大学卒業後フリーのパーソナルトレーナーとして活躍。その後、かたぎり塾を創業し、PDCAを回しながら手探りで多店舗展開を進めている。彼らが目指す世界とは何か?そこに向かう背景は何か?今回の独自取材で解き明かしていく。

筋力トレーニングのきっかけは中学野球部時代のケガ

片桐氏は山形県出身の27歳。幼い頃から野球に熱心に取り組んできたなかで、小学校高学年からトレーニングに興味をもち、独学で取り組んできたという。本格的に器具を使ってウェイトトレーニングを開始したのは中学1年生のとき。その頃、スライディングをした際に膝の靭帯を損傷してしまった。

「下半身を満足に動かせない状態でも、何かできることがないかと考えました。そして、その答えとして上半身を鍛えることに行きついたのです」と片桐氏は話す。このときから、困難な状況に直面しても「どのようにすれば乗り越えられるのか」を考えて行動する青年だったと見て取れる。長いリハビリを乗り越え、いよいよ実践復帰。その初戦で片桐氏はホームランを放った。「明らかに打球の飛距離が増していました。その経験から筋力トレーニングのすごさを知り、さらに熱中するようになったのです」

それに関して1つ、驚きのエピソードがある。中学生のときから「かたぎり塾」と称し、野球が上手くなりたい人を有志で集めて部活動の後に2時間ほど自主トレーニングをしていたのだ。「超スパルタ指導のトレーニング塾でした」と片桐氏は笑いながら話すが、当時からチームを陰から支える役回りを得意としていた。今のかたぎり塾の源流を辿ると、ここに行きつく。

大学卒業後、パーソナルトレーナーとしてキャリアをスタート

その後、高校、大学と進学。大学生時代はボディメイクの大会に積極的に出場するほどで、トレーニングへの情熱はどんどん増していった。大学4